女房の買い物に付き合いながら思う :生涯学習ノート

生涯学習ノート
女房の買い物に付き合いながら思う
定年退職してからは毎日のように女房と一緒に買い物に行く
朝、新聞の折込チラシを整理して安売りのチラシを食卓の話題にする

各店は少しでも客足を増やすために、シルバー割引 日曜割引、スタンプ倍増、時間割引などいろいろ行っている
いつ、どこの店で、どういう方法で特売があるのか、何回聞いても忘れてしまうが女房は全部そらんじている
チラシを見ながら、今日は○○へ行こうと決める

一歩店に入ると女房のサーバント役に徹することにしている
ご主人様である女房はスパイダーマンのようにあちらこちらと飛び跳ねるようにして動き回る
サーバントは女房が手にしたものをしかさず「サッ」とかごで受けとめる

品物を手にしては傷がないか、どちらが大きいかと見比べられる旧会社人間はついついいらついてしまう
「たいした変わりはないだろうに、時間が惜しい、早くせいよ!」と心の中でつぶやく

毎日のように行っていると価格について詳しくなるし、いろいろな店をまわっていると店のレイアウトや品物の陳列などにも敏感になってくる

先日のある店での安売りではお客の行列ができて、支払いするまで30分待ちであった

価格破壊で安くしなければ客足が遠のくという不安からか、店側はさらに安売りに走る
お客は1円でも安いところを出かける
安い物買いは年金生活者だけの生活態度ではなくなった
安いものを買うことが妙な達成感、安心感のようなものにつながっていく

安売りをしていけば、価格下落 → 企業収益を圧迫 → 賃金や雇用の調整 → 家計所得の低下 → 個人消費の低迷 → さらなる価格下落という悪循環に陥るという

過激な安売り競争がコストの圧縮や労働者の賃金切り下げに直結していく
安売り競争に参入することは企業にとっても自らの首を絞めることにほかならない
激しい価格下落は、企業の利幅の縮小も意味している

企業がライバルが倒れるまで消耗戦を続けると、結果的に経済がどんどんと縮小していき、デフレの悪循環に陥っていく
いわゆるデフレスパイラルである

これを称して「ユニクロ栄えて国滅ぶ」とか「ユニクロ型デフレ」などというが、ユニクロにしてみればいい迷惑である

ユニクロの社長は「価格だけで売れているのではなく、お客のほしがる良いものを安い価格で提供しているから売れているのだ」という
「良いものを安く」というのは創業時からのユニクロの経営理念である

また別の言葉では「自分さえ良ければ病」ということも言われる

「自分さえ良ければ病」とは自分にとって一番利益があがるように行動しているつもりが、社会全体では不利益を生み、結局自分自身も貧しくなってしまうということである

この病の特徴は、自分にとって一番利益があがるゆえに行動しているつもりが、社会全体では不利益を生み、結局、自分自身も貧しくなってしまうことだ
共食い共倒れの世界にほかならない

その理屈は頭のなかではわかる
しかし少しでも安いものを買おうという意欲は一向に衰えない

押し寄せる生活苦と将来への不安感を抱えたお客様は、一円でも安いものを求めて今日もさまよい、うごめくしかないのか

それを変えられるのは景気の上昇と将来に対する希望と安心感を持たせてくれる政治の役割ではないのか

我が家のスパイダーウーマンは今日も張り切ってお出かけになる


2009.12.16:Copyright (C) 年だからでなく年がいもなく
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