久しぶりのハローワーク:生涯学習ノート

生涯学習ノート
久しぶりのハローワーク
若者就職支援セミナー・ジョブクラブの仕事のお手伝いで、久しぶりにハローワークを訪問した
お手伝いは応募書類についての指導である
講師と2人でそれぞれ受講生1人30分の目安で個別の指導を行う

個別に書類に目を通していくと,よく書かれてはいるが職歴の事実を細かに書きすぎたり、マニュアル的な表現で書かれているのが目に付く
これを直そうとすると相当のエネルギーが必要とされる
誰でもそうであるが、人は1度苦労して書きあげたものは簡単には直そうとはしない

そこで今回は今日が初対面であるということもあり、応募種類に書かれている事実や内容について細かに聞いてみることから始めることにした

応募書類に書かれている職歴について、いろいろ質問し、答えてもらう
受講生は必死になって考えながら自分なりの答えを口にしてくれる
そして答えている中に、自分が気がついていなかった「お宝」(セールスポイント)や見間違えていた「お宝」を発見していく
発見した「お宝」を自分の言葉で口にしてもらい、そのキーワードを使って文章にしてもらう

質問に答えて作った文章と、すでに書いてある応募書類と比較してもらいながら話し合いを続ける
そこまでいくと、すでに書いてある応募書類の足りない点や、視点のずれや、ひとりよがりの点などに気づきはじめる

応募書類の指導は「てにをは」や言葉の修正でなく、第3者の力を借りてもう1度自分を見直し、新たな自己像を発見し、それを自分の言葉で表現させることにあると思う

新たな自分のセールスポイントの発見と表現の仕方に気づくと、あ〜そうだんたんだ、というような納得顔をしてくれる
その顔を見るのが楽しみである

個別指導終了後ハローワーク担当のA氏と話す
前回のセミナーの受講生であるM君のその後の活動状況についてである

M君は大学卒業後10年余正社員として就職できずアルバイト生活を続けていた若者である
正社員になる見通しもたたず、家の中での居場所もなくして自信を失いかけていた
セミナーでの受講する姿も消極的で弱弱しく、自信がなさそうであった

そのM君がセミナー終了後酪農関係の求人を見つけ、自分で試用見習いに出かけたという
その酪農の仕事は朝4時からスターとだったが、車を持っていなかったM君は自転車で2時間かけて通勤したそうである
4時のスタートに間に合わせるためには朝2時起きないといけない
弱弱しかったM君は朝2時起きして通い続けたという

M君は数日間その仕事続けたが、ある日A氏のもとへ「自分は酪農に向かないと思うのでやめる」と連絡してきた
その直後、試用している側から「採用したい」という通知が届いた
しかしM君は酪農の仕事は自分には向いていないという理由でその正社員の内定を断ったという

A氏は正社員の内定を貰えたことは素晴らしいことだといって、M君に自信を持たせるように励ました
そのM君は今、介護施設の試用にチャレンジしている
自信を取り戻して介護の仕事に就いてくれることを願う

A氏はいう「M君はすっかり代わりましたよ。以前のM君ではありません」
さらに付け加えて「M君の事例では自分も勉強になりました。人の潜在能力というものに視点をあてて就職支援をしていかねばならない、ということに気がつきました」という

ほとんどの就職支援は本人の顕在能力だけをセールスポイントにして行われている
正社員になれず、キャリアの少ない若者には能力発揮のチャンスは少なかったはずである
自分の潜在能力に気づいていないまま就職活動をしているかもしれない
潜在能力まで目配せして就職支援活動を行っていくことが必要である

そしてまたメンタルの面でも自分の生き方や、自分の能力や可能性について自信をなくしているケースが多い
そういう若者に対しては就活のハウツーよりも、自分への自信を取り戻させることを優先してやる必要がある

そのためには座学だけでなく、インターンなどで就業行動の中から何かを掴み取らせることも必要である

行政の中にはそのような考え方に向かって動き出している部分もある
またNPO活動のなかに取り入れて行っているところもある
どんどんその方向で進んでくれることを願う

一方では相変わらず、現場からのニーズ対応でなく、予算がついてから具体的対策を無理やりはめ込むというスタイルも多く残っている

先日のニュースで厚労省は大卒3年目まで新卒として採油してくれる企業に助成金を出すという政策を発表した
当座の対策としては無いよりはましかもしれないが、根本的解決にはならない

構造的長期的な改善策としては、社会の仕組みを大きく変えて正社員と非正規社員の格差の是正をはかることが必要であろう
それと同時に雇用・就職のシステムに関する社会的仕組みを根本的に変えていくことも必要である
そのほか、ハローワークの機能の中にさらなる場密着と個別対応の強化を加えることや、高校大学のキャリア教育の充実を図ること、そして若者就職支援NPOなどへの支援を強化することなどが必要である

M君の事例を聞いてその思いを強くした

2010.08.22:Copyright (C) 年だからでなく年がいもなく
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