▼映画「パリ」
いつもの通りハローワークの仕事が4時で終わる。近くの映画館の上映時間を探してみた
あるある。4時35分から「パリ」というフランス映画。女房と映画館ロビーで待ち合わせして入る
パリの街をキャンバスにして、パリに住む人々の生活がパッチワークのように織り成して描かれる
メインとなる絵柄は心臓移植を勧められている男性とその姉(3人の子持ちのシングルマザー)、それにソルボンヌ大学の美しい女子学生とその学生に恋し、関係まで持ってしまう歴史の教授、そして教授の弟夫婦。
さらに街の市場の(その姉)に恋する八百屋や市場で働く人々、パン屋の女主人と店で働くアラブ系の女性、チェニジアからの移民夫婦とその弟、ファッション関係の女性達などがそれぞれに関係づけられ画面に張り出されていく。次第に息づく人のつながりとパリの街が出来上がっていく
フランスを代表する俳優達が多数出演してパッチワークに息吹を与えている
死を前にした男とその姉の関係、恋や性愛関係、移民者の姿などが白いパリの街を背景にして等身大で淡々と描がれていく
取り留めの無いように流れていくが、生きていることの哀しさや寂しさ、誰かを愛したいという思いが伝わってくる。それが生きているということなのだろう
フランス映画らしいきめ細かさが、生きている幸せや男女の性愛や恋愛を上品に表現してくれて芳醇な思いが残る
女学生と教授の恋物語は昔観た中年年の仕立て屋が学生に恋して悲劇に終わる「仕立て屋の恋」という映画を思い出させてくれた
心臓病に冒されて余命を宣告されている男性がベランダから街を眺め、向かいのアパートの部屋を眺め、生きている人々の姿を眺める姿は、自分がガンで入院し病院の8階から眺めた時に感じた心象を思い出させる
ラストシーンは心臓病の男性が病院から緊急の呼び出しがあってタクシーで向かうとき車窓から眺める情景である
そこには映画で登場した人物が時を同じくして街のなかに映し出されていく
その絵には、余命を宣告され命に限りがあることを知った人間の眼差しが捉えた命の輝きが描かれていく
人は生きている、街は息づいている、人はだれかと繋がっている、という思いがひしひとと伝わってくる
観終わって外へ出てみたら、次回上映を待っているお客さんの多いことに驚いた。ほとんどが若い女性であった
フランスで170万人の大ヒットを飛ばした映画ということを後で知った



2009.02.12:choro

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