▼思い立っての里帰り
急に思い立って秋田の実家へ行ってみた
実家の義姉と姪に会うためである
義姉は聾唖者で、もう78歳になる
10年前に同じ聾唖者であった夫を亡くした
姪は60歳になるが夫とはうまくいかず別居中である
近くのスーパーで夜のアルバイトをしている
その母娘2人が実家でひっそりと暮らしている
兄夫婦は実家で暮らしていたので、私が9歳のときに生まれた姪は妹のようなものである
大学入学で実家を離れたので、多感なころの姪の悩みや苦労については知ることがなかった
最近になって、「聾唖の母親の面倒を見なければ」という姪の話を聞いて、今までの苦労を思うようになった
今までは仕事で年に4,5回実家を訪れていたが、ゆっくり話すことは少なかった
古希を迎えたうえにがんを患っている身である
これからは、秋田まで出かけて義姉と姪との時間をもっと優先的に取らなければいけない
と思った
思い立って出かけたのである
義姉と姪と2日間ドライブを兼ねて「道の駅温泉」巡りをする
日本海の沿線に道の駅をかねての温泉が随所にある
道の駅では近くで採れた魚や野菜を売っている
炭火で焼いた魚を買って温泉の大休憩室に持ち込んで食べる
風呂場からも、休憩室からも大きなガラス窓を通して日本海の景色が1望できる
砂浜と荒波が美しく時には日没や夕焼けも見られる
食事をしたあとごろりと横になって仮眠する
実家の近くの居酒屋で食事した姪に、「カラオケに行ってみるか」と声をかけたら「行く」という
2人で近くのカラオケスナックに行ってみる
小学校の同級生と行った前の晩は20名も入っていたのに、今日はお客は誰もいない
持ち歌の1つであるサザンの「真夏の果実」を歌ったら姪もサザンが好きだという
そして姪もサザンの歌を歌いだした
期せずしてサザンオンパレードになる
サザンが老いたる叔父と姪を結んでくれた
姪とのカラオケは初めてである
姪は楽しそうに次から次と歌いだす
この年になって姪とカラオケができるとはなんと幸せなことだろう
2人で夢中で歌っていたら12時近くになった
翌朝テーブルの上に「おやすみなさい、楽しい夢を見て眠れそうです。ありがとう」という書きおきがあった

2010.03.28:choro

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