▼映画[ハート・ロッカー]
アカデミー賞受賞作品
札幌から遊びに来ている孫と女房と3人で観にいった
イラク、バクダット郊外でのアメリカ軍のある爆発物処理班の活動と人の物語
班のなかの3人を主人公として、毎日のように行われる爆発物処理の活動の様子とそこでくり広げられる人間模様や葛藤などが描かれる
記録映画的に戦場が臨場感をもってドキュメント風に描かれていく
監督は女性監督であるが、斬新な映像処理で戦場の生々しさを感動的に伝えてくる
砂と土の戦場で繰り広げられるアメリカ軍とイスラムゲリラとの激しい戦いは自分がそこで闘っているような恐怖感と緊迫感に襲われる
恐怖に駆られてのバクダット市民との戦いの場面も息遣いと恐怖におののく心臓の鼓動が聞こえてくるような感じ
市民とアメリカ兵が見ている前で爆発する人間爆弾
少年の血にまみれた体内に埋め込まれた爆弾を取りだす映像
今までテレビや新聞で見ていた爆弾テロの映像は何だったのだろう
この映画で見せられる爆弾テロの現場の映像は今まで見てきたテレビなどの映像とは全くちがう印象である
死と隣あわせの危険な爆弾処理の実態、破裂した爆弾のよる現場での阿鼻叫喚の様子
自分もそこにいて危険や混乱に巻き込まれているような感じで見続ける
 
死を覚悟しての3人の主人公の口にするセリフは非常に印象的で感銘的である
「毎日誰かが死んでいる 僕だって」
「みんな気づいている 現場に出れば生きるか死ぬか」
「サイコロ振り、あとは分からない 知っているはずだ」などなど
しかしセリフ以上にバクダットという戦場がもつ沈黙や殺伐さがこの映画の魅力のような気がする
沈黙や土ぼこりの舞うバクダットの街の景色が戦争の無意味さや恐ろしさを語りかけてくる
そこでうごめく3人の主人公もひとりひとりが非常によく描かれていて分かりやすい
それぞれに共感を覚える
危険な爆弾処理を終えて兵舎に返り3人一緒にくつろぐ場面はお互いに心理的バランスを崩して狂気に近いくつろぎ方となる
主人公の1人は除隊後、我が家に帰って奥さんとまだ赤ん坊の息子とあったのに、また爆発処理兵として戦場に舞い戻る
最初は「疲れた〜」といった孫はその後「いい映画だなー」といってくれた
戦争物は敬遠する女房も、人間爆弾などのむごたらしい場面にも目をそむけず観続けていた
観終わったあと得体の知れない暗い熱き想いが駆け巡った


2010.04.07:choro

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