▼入院日記 その5
10月1日(金)
10時半ICUから病室へ移る
病室へ行っても待っているはずの女房がいない
痛みがあるうえに管をつけたままなので身の廻りのことをするのが大儀であり痛みが発生する
肝心の時に来ていないとは!と思うと体の痛みだけでなく心の痛み(怒り)が湧いてくる
今まで毎日1時間もかけて通って来てくれていたのだから疲れもでてきていることだろう、
少し遅れたことくらいで怒ることもないだろうと自分を抑えるが我慢しきれない
携帯もお金も女房に預けているので看護師に頼んで早く来るように電話してもらう
女房は昼近くに到着
昨日からお粥が出ている
まずいのを我慢して全部食べていたら「おなかが張るから無理して全部食べることはない」とアドバイスをもらう
体力回復のために食事は全部食べようと無理していい子ぶっていた
秋田弁で言う「いいふりこき」である

午後、看護師が付き添いで歩行訓練をするという
管をつけたままで、点滴の器具を引っ張って歩くのは難しそうであった
最初は看護師さんの手を借りて歩いてみたが、そのうち1人でずんずんと歩きだす
「すごい、すごい!」と看護師はほめるが、またまた「いいふりこき」である
10月2日(土)
休日でもあり、処置や検査はなし
夜、ようやく点滴器具がはずれる
残ったのは痛み止めの容器だけとなり身軽になった
精神的にも楽になる
10月3日(日)
朝からようやく普通のごはんになる
10月4日(月)
朝からウオーキングを再開
30分歩く
主治医であり手術の執刀医であったM先生が忙しい時間を割いて手術後初めて病室を訪れた
「手術をやってよかったですね。がんが腸に近づいており2週間遅れるとがんが腸を抑え込んで糞詰まり状態になっていましたよ。そうなれば腸も一緒に切らなければいけなかったですね。早めに手術を決断して良かったですね」と言ってさっと立ち去った
今回の手術の選択は迷った部分があったが、M先生の話を聞いて、自ら早くに決断して良かったと思う
5度目の「ついているな〜」という思いを抱く
10月5日(火)
9時過ぎに教授回診あり
若い医者をぞろぞろひきつれての昔ながらの回診である
「長山さん、傷を見せてくださいね!」といいながらさっと自らの手で腹帯を外す
「ああ、傷の治りかたがいいですね」という
1言2言担当医に何かを話したあと突然に「長山さん!顔色がいいですね!」という
教授が1患者の顔色のことをいうのか、とびっくりした
がんが再発し、どんどん増殖しているというのに会う人は「顔色がよくてがん患者とは見えない」と言う
お世辞かなーと思いながら聞き流していたが、教授が同じ言葉を口にするのを聞いて自分の顔を鏡に映して見てみる
余命4ヶ月といわれても顔色がいいのが不思議である
回診後唯一残っていた痛み止めも外してもらう
術後のあとにつけていた管のようなものは完全に外れた
夕方血糖値のコントロールの指導に循環器の先生が来室し、退院後のインシュリンの打ち方を指導してくれる
ここ数日夜寝くれなくて苦しい
睡眠薬を毎晩1錠ずつ飲むが効かないので別の睡眠薬に変えてもら

2010.10.14:choro

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