教えることから考えさせることへ:リーダーズ・コミュニティ Leaderz
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高校時代、清水商業サッカー部のキャプテンだった大瀧は、大学卒業後、教師と
して母校に赴任。
自らが果たせなかった全国優勝を目指し、最新の戦術やセットプレーなどを徹底
的に指導した。
ついて来れない者には烈火の如く怒り、厳しく接した。
だが結果はさんざんだった。全国どころか、県の予選でも簡単に負けた。
まもなく厳しい指導が悪評を呼ぶようになる。「清商には選手を潰す監督がいる」
入部者は激減。部員は16人にまで減り、紅白戦すらできなくなった。
それでも大瀧は指導方法を変えようとはしなかった。「生徒が悪いんだ。こいつ
らがだらしないんだ」
赴任して4年目の春、一人の生徒が入ってきた。風間八宏、のちにドイツのプロ
リーグ活躍する名選手である。
当時、まだ15歳。しかし、そのプレーに目を見張った。足に吸いつくようなド
リブル。まったくボールを取られない。
しかも、ユース代表だった風間は練習方法や戦術に関しても、大瀧よりはるかに
詳しかった。
「彼に、何か教えるなんていうのはできない。どうしたらいいのか・・・。」
大瀧はいったんグランドの外から練習を眺めてみた。すると、ドリブルが得意な
風間がパスばかり出す。
力の半分も出しきれていない。一年生の風間に、先輩がパスを出すように指示し
ていた。
大瀧はチーム全員の前で風間に言った。「お前のやりたいようにやってみろ」
風間が自由にプレーをしはじめると、停滞していたチームが変わりはじめた。
プレーばかりではない。指示を待つばかりだった生徒が、自分たちで話し合いを
するようになった。
自分たちで考えはじめた生徒たちは、驚くほど伸びた。
大瀧に一つの確信が生まれた。「教師の仕事は教えることではない、考えさせる
こと」
新しい流儀を得た大瀧のもと、チームは年を追うごとに力をつけていった。
(プロフェッショナル仕事の流儀6 File No.17より)