▼生の感情でぶつかり合う場
かっては、家族のことより会社に忠誠を尽くすことが第一義になっていました。
ところがいまは、いくら会社に忠誠を尽くしても、どうもそれほどいいことはないらしいとわかってきた。
では、自分の人生で何を大事にしたらいいかと考えたときに、身近なものとして家族が視野に入ったわけです。
だから、いま、家族を大事にしていると言いながら、形式的な面の方が追及されている段階ではないかと思います。
例えば、昔は、入学式に出席する父親などめったにいませんでした。
けれども、家に帰れば、子どもを怒鳴ったり、引っ叩いたりする生身の父親がいました。
そこには、生きていることを実感させられるような感情のぶつけあいがありました。
いまは、むしろそういうのを避けるために、カタチのほうに懸命になるようになって、
親の方がそれを免罪符にしているような面も見られます。
「入学式にも行ったじゃないか」「誕生会だってやってやったじゃないか」と。
むしろ、それがむつかしい問題を引き起こしているような気がしてなりません。
自分が外で上手くいかないから、それが家族に向かうというのは、家族にとってははた迷惑な話です。
単なるカタチではなく、自分の心のエネルギーをどれほど投入しているかという観点から考えられるようになった時、
やっと家族の問題の本質的な部分もわかってくるのではないでしょうか。
(父親の力母親の力より)
2009.04.22:反田快舟
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