「イーハトーブ」のミレーがまいた、賢治の「マコトノクサノタネ」〜20,792粒が芽吹くとき:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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「イーハトーブ」のミレーがまいた、賢治の「マコトノクサノタネ」〜20,792粒が芽吹くとき
2022.01.26:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
「イーハトーブ」の「種蒔く人」
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♪日ハ君臨シ/カガヤキハ/白金ノアメ/ソソギタリ/ワレラハ黒キ/ツチニ俯(ふ)シ/マコトノクサノ/タネマケリ…日ハ君臨シ/カガヤキノ/太陽系ハ/マヒルナリ/ケハシキタビノ/ナカニシテ/ワレラヒカリノ/ミチヲフム♪(宮沢賢治「精神歌」)―
今回の選挙戦最終日(1月22日)午後3時12分、私は先導車の中から次のようなライン発信をした。「足下に何か、地殻変動みたいな予兆を感じる。そのシグナルは町いく人たちの、ちょっとした仕草の変化である。まさみちさんに向けられる身ぶり手ぶりがどんどん、大胆になっている。身震いするような感覚―。『イ−ハト−ブ』(夢の国)への第一歩を踏み出しているのかもしれない」
分厚い雪に埋もれた「イ−ハト−ブ」の世界に20,792粒の「マコトノクサノタネ」がまかれた。今回の花巻市長選で敗北した小原雅道氏(61)が雪中を這いまわるようにしてまいた、ひと粒ひと粒である。私自身、その「マコトノクサノタネ」のひと粒たらんと欲す。20,792粒の「タネ」たちはいま「ケハシキタビ」の中途にいるが、やがて萌芽をへて、いっせいに花を咲かせるにちがいない。立春はもう目の前である。
「2022年1月22日15:12」―。私はこの瞬間の気持ちを永遠に心の奥底に刻み続けたい。「種蒔(ま)く人」(ミレー)がいなければ、花は咲かない。「イーハトーブ」のミレーはまさみちさん、その人であった。
《追記―1》〜「イーハトーブ」のミレ―と「種蒔く人」(コメント欄に写真)
19世紀フランスの画家、ジャン・フランソア・ミレーは1850年、マタイ伝の教えを「種蒔(ま)く人」という連作で表現した。今度は「イーハトーブ」のミレーが今回の選挙戦で語りかけた言葉に、私たちが耳を傾ける番である。その聖書にはこうある。
「ある日、種をまく人が、種まきに行った。まいているときに、1つの種は道端に落ちたが、鳥がそれを食べてしまった。また、別の種は石だらけで土の少ないところに落ち、一旦はすぐに芽を出した。ところが、土が少ないため充分な根っこを張ることができず、太陽が出てくると枯れてしまった。また、別の種はイバラの間に落ちたが、イバラが伸びて覆(おお)いふさいだので実を結ばなかった。ところが、別の種は耕(たがや)された良い土地に落ち、実を結んで、あるものは100倍、あるものは60倍、またあるものは30倍にもなった。耳のある人は聞きなさい」(マタイによる福音書第13章)
《追記ー2》〜市長選の票数は何を物語っているのか(コメント欄に写真)
今回の市長選で3選を果たした上田東一氏が初陣(2014年)の際、当時3選を目指した現職を破った時の得票数は31,749票で、11,198票差の大勝だった。無投票を1期をはさんだ今回の得票数は22,676票で、初陣に比べて9,073票減らした。一方、3選阻止に挑戦した小原雅道氏の得票数は20,792票で、その差は1,884票の僅差だった。この数字は何を意味するのか。
選挙戦に密着取材した私は中盤戦のある日、玄関を開けて手を振っている女性に気が付いた。私が知的障がい者施設の園長をしていた時の入所者だった。候補者は選車から飛び出し、すぐに駆け寄った。真っすぐに相手の目を見つめ、がっちりと握手する姿をとっさにカメラに収めた。「誰ひとり取り残さない、優しさを後回しにしない」(リーフレットから)。「20,792票」の1票1票は候補者に「変革」を託す票の積み重ね……まこと、賢治がいう「マコトノクサノタネ」(精神歌)なんだと、確信した瞬間だった。言葉の真の意味で、小原雅道氏は今回の市長選に「勝った」と私は思っている。
(写真は雪の壁に阻まれながら、街頭演説をする小原氏=1月18日、花巻市の笹間地区で)