いま、よみがえる歴史の記憶―新図書館立地の最適地がこつ然と出現!!??:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

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いま、よみがえる歴史の記憶―新図書館立地の最適地がこつ然と出現!!??


 

 「ひょっとしたら、この広大な土地こそが新図書館立地の最適地じゃないのか」―。目の前に広がる空き地にたたずみながら、ふいに歴史の記憶が呼び戻されるような気持になった。すぅ〜すぅ〜と吹き抜ける心地よい風を体に受けながら、私はそこに新しい図書館の姿を見たような気がした。

 

 花巻城址の一角に旧総合花巻病院がオ−プンしたのは100年近く前の大正12(1923)年11月。宮沢賢治の主治医でもあった故佐藤隆房医師が地域医療の充実を目的に私財を投げうって、設立した。以来約1世紀の間、当地の中心医療機関として、住民のいのちを守り続けてきた。2020年3月に旧厚生病院跡地に新築・移転したのに伴い、昨年暮れから解体工事が始まった。かつて、1・8ヘクタ−ルの敷地内には5階建てを含め、24棟の病棟が林立していた。解体が進むにつれ、目の前には旧花巻城のたたずまいを思い出させる“空間”が次々に姿を現した。

 

 5月24日開催の「第1回花巻城跡調査保存委員会」(高橋信雄委員長)は城跡周辺の堀(濁掘)について、こう結論づけた。「旧総合花巻病院の解体が進む濁堀(にごりぼり)について、病院の建設等で改変を受けているが、堀の景観は残されているおり、一級品の貴重な遺構であることから、できるだけ現状のまま(堀の規模がわかるように)保存することが望ましいとの意見で一致した」。喫緊の市政課題としての新図書館の立地場所について、上田東一市長は9月定例市議会で、JR花巻駅前のスポ−ツ用品店用地を第1候補地にすることを表明したが、病院跡地を含む「まなび学園」周辺への立地を望む市民の声もある。

 

 一方、地続きの城跡である「旧新興製作所」跡地の利活用について、上田市長は言葉を慎重に選びながらも、こう述べた。「新興製作所跡地の上部平坦地(旧東公園=三の丸)は歴史的に由緒ある場所であることから、市民の多くが史跡保存を望む場合は、市で取得することを検討する余地がないとは言えないものと考える」(9月定例会における市長答弁の要旨)―。これまでかたくなに「取得」拒否を貫いてきたことを考えれば、一歩前進と評価したい。

 

 「花病跡地」と「新興跡地」―。同じ城跡の背後から、期せずして「歴史の記憶」がむっくりと目を覚ましたような、そんな感慨さえ覚える。花病跡地は来年春には更地になり、市が買い取ることになっている。そうなれば、新図書館の市有地への立地を求める議会側の意向とも合致するではないか。

 

 「歴史の息遣いが聞こえる城跡こそが、まちづくりの生命線。まなび学園(生涯学園都市会館=旧花巻南高校、前身は賢治が教鞭を取った稗貫農学校)と花巻小学校に挟まれた、この場所に新図書館が出現すれば、この一帯は文字通り、生涯学習の拠点(文教地区)に生まれ変わるのではないか。ついでに、地続きの新興跡地を市民の手に取り戻すことができた暁(あかつき)には城跡に新庁舎も…」―。来し方行く末を思いながら、私はだんだんワクワクする気持ちになっていた。市民の皆さんもぜひ、「歴史探訪」を兼ねて足を運んでほしいと思う。

 

 

 

(写真は病棟の建物が撤去されたあとに現れた“歴史空間”。右側に見えるのは花巻小学校、左側の林の陰にはまなび学園がある=9月17日午前、花巻市花城町で)

 

 


2022.09.17:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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