(続)「黒塗り公文書の闇を暴く」…土下座「外交」ならぬ、まるで土下座「行政」〜JRとの土地譲渡交渉、そして民意って、な〜に!!??:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

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(続)「黒塗り公文書の闇を暴く」…土下座「外交」ならぬ、まるで土下座「行政」〜JRとの土地譲渡交渉、そして民意って、な〜に!!??


 

 「市側で図書館の整備場所が決定し、市の意向として正式に当社敷地を買わせて下さいとなれば、その段階で初めて当社において敷地の譲渡額を算定するために不動産鑑定評価を実施する必要性が生じるが、市側で建設場所がどちらになるか未だ分かりませんという今の状況下において、当社が不動産鑑定評価を実施する理由、必要がないということである」(令和5年7月28日付のJR発言)―

 

 文書開示請求した(令和6年12月12日付)「復命書」から、新花巻図書館の建設候補地のひとつであるJR花巻駅前のスポーツ用品店敷地の譲渡交渉をめぐる生々しいやり取りが明らかになった。そこで浮き彫りになったのは「駅前立地」の確約を一刻も早く、取り付けたいというJR側の強気の姿勢だった。

 

 「譲渡面積は約3,664平方メートル。譲渡価格は市の不動産評価額と同程度の1億3千万」―。2023(令和5)年11月24日、1年2か月ぶりに開かれた第13回「新花巻図書館整備基本計画試案検討会議」の場で、JR用地の譲渡条件が初めて明らかにされた。数カ月に及ぶ協議の末の妥協の産物だった。開示された復命書は令和5年1月11日から同年11月10日までの間に開催された8回の会議の復命記録。例によって、黒塗りされた“のり弁”には変わりはないが、判読可能な行間からは双方のギリギリの攻防戦の様子が垣間見えてくる。

 

 「何回も言うが、まだ場所が決まったわけではないので、具体的な話はその段階でということである」、「花巻市の図書館整備事業に可能な限りの協力はしたいが、収入の減少幅を考慮した場合に、全部の用地を売却するのは難しい」、「そのような駐車場の必要性はあるのか。駐車場を新たに整備するのではなく、駅直結という利点を活かし公共交通をご利用くださいという考えになるのではないか」、「現段階で土地代を対外的に示す必要があるのであれば、市側で不動産鑑定評価を実施していただくことが良いのではないか」、「前回申し上げたとおり、この額がイコール売買額にはならない」…

 

 不動産鑑定を要求する市側とそれをかたくなに拒否するJR側―この辺に双方の力関係の差が歴然と見えるような気がする。「駅前立地の確約書(手形)を持ってきたら、JR側としての正式な譲渡価格を提示する。しかし、(土地代については)『現時点では』という言葉を入れたほうがよろしいかと思う」…駅前立地に固執する市側の足元を見透かしたようなJR側の高飛車の姿勢を見るにつけ、実質的な“仮契約”はすで結ばれているのではないかという錯覚さえ覚えてしまう。一連のJR発言の背後からは「早急に駅前立地を決定せよ。それが無理なら(交渉は)なかったことになる」―こんな無言の圧力が伝わってくる。退路を断たれた敗者の趣(おもむき)である。

 

 それにしても市側がなぜ、これほどまでに「駅前立地」にこだわるのかというナゾは依然として、残ったままである。「なぜ、病院跡地ではダメなのか…」。もっと、深い闇が背後にうごめいているのかもしれない。

 

 立地場所の意見集約をするための対話型「市民会議」は2月15日、全4回にわたった会議が終わった。参加者によるヒアリングシートの中間報告では、病院跡地より駅前への立地を望む意見が若干上回ったと報告された。その際の設問は「都市(建築)計画的視点」に立脚した「活性化」「アクセス」「周辺環境」「駐車場」「費用」など10分類からなっている。図書館というよりもいわゆる「ハコモノ」を対象にしたアンケート調査といった類(たぐい)である。正式な集計は近く公表される予定だが、仮に「駅前立地」が確定すれば、駅橋上化(東西自由通路)と相まって、JR側の手の平で踊らされた“土下座”行政の実態が白日の下にさらされることになる。

 

 当ブログでも再三引用してきたが、これまでの経過を一番わかりやすい形で表明した「上田」語録を総括の意味で以下に再録する。2022年6月28日、松園地区で開かれた市政懇談会での発言である。

 

 「駅前の土地については、購入するためにJR本社の社長の許可が必要となる。現在でも盛岡支社と話し合いをしているが、花巻市としてJRの社長が許可を出した際には図書館を建設するという決定に近い話がなければ社長に話せないと言われている。JRは花巻駅の橋上化をやりたいと思っており、橋上化の話が進めば、土地の売買について真剣に話をしてくれる可能性はある。橋上化がなくなった際には、駅前に図書館を建設することについてもどうなるか分からない」(会議録より)―

 

 

 

 

(写真は発言者の肩書だけが開示された“のり弁”の典型例)

 

 

 

 

《追記》〜民意って、な〜に?「ウソをつく数字とつかない数字」!!??

 

 

 「駅前か病院跡地か」―。「百年の計」とも言われる文化の殿堂・新花巻図書館の建設場所を決める対話型「市民会議」の最終集計に注目が集まっている。意見が別れる場合、公正中立の形での判定に委ねるのは通常のやり方である。しかし、今回の市民会議の構成を知って、その数字のマジックに驚いた。以下の数字に目を凝らしていただきたい。市側は「多くの市民の方にご参加いただきました」(2月19日開催の記者会見)とうそぶいて憚らない。逆ではないのか。この数字の羅列はまさに「ウソをついている」としか言いようがない。ちなみに「ウソをつかない数字」は18日付当ブログの棒グラフである。

 

 89,656人(令和6年12月末現在の市人口)→3,500人(全人口の中から無作為抽出で選別)→75人(会議への参加希望者)。市側の説明ではこういう手順を踏んで、市民会議を構成したという。では、実際の会議出席者はというと―。65人(第1回)、64人(第2回)、57人(第3回)、53人(第4回)と回を追うごとに減少。全会議(4回)に出席したのは半数を若干上回る42人、3回が19人、2回が6人で、8人は一度も出席しなかったことが判明した。

 

 しかも最終回、ヒアリングシートの記入欄に「(場所は)どちらでもよい」と答えた人が半数に近い25人にも上ったという。その一方では、病院跡地への立地を望む署名が最終的に10,269筆に達している。いずれ場所がどちらに決しようが、今回の市民会議の構成にある種の不透明さが残る以上、当該会議に判定を委ねること自体、将来に取り返しのつかない禍根(かこん)を残すような不安を覚える。賢治の理想郷「イーハトーブ」の図書館誕生劇に暗雲が漂いつつある。


2025.02.22:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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