「断捨離」大作戦(「本の目利き」三人衆その1)…イーハトーブ(花巻)からニライカナイ(沖縄)へ!!??:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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「断捨離」大作戦(「本の目利き」三人衆その1)…イーハトーブ(花巻)からニライカナイ(沖縄)へ!!??
2026.03.21:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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「南と北の歴史に学ばなければ、中央(ヤマト)は見えてきませんから…」―。私の「断捨離」大作戦はこの極めつきの“決めゼリフ”がきっかけでスタートした。2年前の冬から翌年の初夏にかけて、私は沖縄・石垣島に短期移住した。当ブログでも度々、紹介した拙著『「イーハトーブ“図書館”戦争」従軍記』(2026年1月刊)の執筆に当たり、この“戦争”の実相を基地(戦争)と背中合わせの南の島から、少し距離を置いて考えてみたいと思ったからである。
寄宿先のすぐそばに古書&カフェの看板を掲げた「うさぎ堂」という古書店があった。店内の「沖縄」関連本の向かいの棚には10数冊のアイヌ民族に関する書籍が収められていた。現役時代、私は若い記者仲間とチームを作り、全国版に28回にわたってアイヌ民族の現状についての連載記事を掲載した。このシリーズは後に『コタンに生きる』(「朝日新聞アイヌ民族取材班」著、1993年11月岩波書店刊「同時代ライブラリー」)と題して、出版された。その際に蒐(しゅう)集したアイヌ民族に関する書籍や資料、証言テープなどが留守宅に山積みになっていることが以前から、気にかかっていた。「この貴重な資料をバトンタッチしてくれる人はいないか」…
「もし、よろしかったら…」―。老い先短い老残の願いを快く聞き入れてくれたのが「うさぎ堂」の店主、千葉茂之さんの“決めゼリフ”(冒頭)だった。帰郷した私は本棚に眠ったままになっていた関連本を数回に分けて、千葉さん宛てに送った。その数はざっと140冊。数日前、千葉さんから「『ゴールデン・カムイ』の影響で、アイヌの言葉や習慣に興味を持つ若者が増え、その関係の本が先行して手に取られています」という嬉しい知らせが届いた。『ゴールデン・カムイ』(野田サトル著、全31巻)はアイヌ文化を基底に据えた活劇マンガで、2018年にはアニメ化された作品が手塚治虫文化賞を受賞している。
千葉さんは24年間、東京の書店員として働いた後、9年前に奥さんの生まれ故郷である石垣島でいまの古書店を開業した。競合する大型店舗との死闘を綴った『傷だらけの店長―街の本屋24時』(新潮文庫)と題する隠れたベストセラー本がある。著者の「伊達雅彦」は千葉さんのペンネームである。文庫版書き下ろしの中で、千葉さんは「いまだ本の仲介者として」というタイトルでこう書いている。
「楽しい。新古書店で、棚に並ぶ本の背表紙をなめるように眺めて、本を探す。これほど熱くなれる『仕事』は、他に見つけることができない。ひょっとしたら、本を読むことより夢中になれるかもしれない。私はいま、『顧客』から探索を依頼された本を探している。書店という職場を離れ、それでもこの行為だけが私に残った。新刊書店という枠に捉(とら)われず、本を探している人のもとへ、困っている人のもとへ、求める本を送り届ける。この原点とも言える仕事こそ、書店員の仕事以上に、私が求めていた、本への理想的関わりかもしれなかった」
「持ち主が代わり、新たな視線に触れるたび、本は力を得る」―。世界的なベストセラーになったスペイン人作家、カルロス・ルイス・サフォン(1964〜2020年)の『忘れられた本の墓標』シリーズ(4部作)の中にこんな一節がある。カルロスはこうも語っている。「目にするすべての本、すべての巻物には魂がある。それを書いた人の魂、それを読んだ人、それを生きた人、それを夢見た人の魂」―。さて、この「断捨離」大作戦が今後、どのような展開を見せるのかーどうぞ、お楽しみに…
(写真は「うさぎ堂」の店内に並べられたアイヌ関連本=千葉さん提供)