抗(あらが)うということ…一体、人倫とは!!??:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
抗(あらが)うということ…一体、人倫とは!!??


 

 「この本は30年間、個人として聞き歩いてきたことを書いたものですが、今の勤務先の新聞社が出版不承認とし、出版できずにいました。しかし、話を聞かせてくれた原発事故被災者や原爆被害者の科学者の方々が亡くなっていく中、世に出すべきだと思い、個人として本を出版することに踏み切りました。…検閲を受けていません。踏み込んではいけないとされているところまで踏み込んでいます。お伝えできなかった事実をぎゅっと詰め込みました。いつどのような妨害が入るかわかりません」―

 

 『なぜ日本は原発を止められないのか?』(文春新書)―。著者のジャ−ナリスト、青木美希さんはこの最新刊の出版の経緯について、自らのFB上に冒頭のように記している。その「決意と覚悟」に粛然とした気持ちになった。出版を不承認にした新聞社とは私自身がかつて、身を置いた朝日新聞社である。青木さんは北海道新聞社を経て、東日本大震災の前年に同社に移籍。この間、「(北海)道警裏金問題」の取材班として菊池寛賞を受賞したほか、福島原発事故などの取材に関わり、新聞協会賞を3回受賞するなどの実績がある。

 

 「本件著作は記者としての職務活動により取得した知識や情報を主な内容とするもので、職務と判断した」―。不承認の理由は「社外出版手続き」を盾にした“職務違反”という理由だった。アレっと思った。私自身、在職中に「職務」として取材した内容を外部の出版社から3冊、刊行している。当時はほぼフリーパス…詳しいことは忘れたけれども、印税の何割かを社に還元すればOKというおおらかさがあった。ところが、青木さんのあとがきにはこうある。 

 

 「書けずに苦しんで、記者たちが社を辞めていく。それなのに、その辞めた事実の記載すら社から削除を求められた事例もあった。いったい、何が起こっているのだろうか。民間の報道機関は政府の広報ではない。むしろ権力を監視するのが仕事のはずだ」―。青木さんは現在、取材現場から遠ざけられた部署にいるらしい。サラリーマンの大敵は”左遷”である。だから、部下たちは上司の顔色をうかがいながら、知らず知らずのうちに自己保身に陥るというのが定番である。「憎まれっ子、世に憚る」―。私自身、社にたてついた末に(というか、そのお陰で)沖縄から北海道まで「社費」での取材人生を送ることができた。「抗う」精神はここで培われたと思っている。感謝しかない。いま青木さんの本を手にし、隔世の感にとらわれている。あの大本営の時代が忍び寄りつつあるのかもしれない。

 

 世界を見回しても、そして日本の現状に目を転じても…。歴史の歯車がガタガタと逆転していく気配を感じる。“独裁者”たちが跋扈(ばっこ)する全地球規模の終末観に思わず、たじろいでしまう。青木本には「『安全神話』に加担した政・官・業・学そして、マスコミの大罪!」というカバ−がかけられている。後輩記者に叱咤(しった)されながら、私自身、もう少し抗わなければならないと思う。郷土の詩人、宮沢賢治が理想郷と名づけた「イーハトーブ」…その足元で繰り広げられる独裁者による強権支配の“不都合な真実”を暴くためにも…

 

第1章/「復興」の現状は

第2章/原子力専門家の疑問

第3章/原発はなぜ始まったか

第4章/原子力ムラの人々

第5章/原発と核兵器

第6章/作られる新たな「安全神話」

第7章/原発ゼロで生きる方法

 

 「言論の府」が封じたその先にはどんな光景が広がっているのだろうか。そろそろ、ページを開くとするか。

 

 

 

(写真は”大本営発表“に甘んじることを拒否した青木さんの最新刊)

 

 

 

 

《追記―1》〜我々と同じ喜び悲しみ/消えていく(作家、宮内悠介)

 

 

 「今回のガザの衝突では、まず倫理が破壊された。つまり、誰の目にもわかる、隠されもせず現在進行形で次々と情報の流れてくるジェノサイドを、けれども国際社会は止められなかった(そのことを、ぼくは悲しみ、憂えている)。そうした、既存の倫理の破壊された、そして将来の倫理を問う争いが、ことによると、このガザ衝突なのではないだろうか。人類が少しは賢明になったのか、それともそうではないのか、たぶん、いま我々はそれを問われている」(17日付「朝日新聞」への寄稿文から一部抜粋)

 

 「アイヌ女性『もう黙らない』/杉田水脈議員 人権侵犯認定後も持論なお」―。同紙は同じ紙面で、足元のもうひとつの「倫理破壊」の実例を特集で掲載している(11日付当ブログ参照)

 

 

《追記―2》〜学校などを空爆

 

 

 イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザ地区の難民キャンプにある学校などを2回にわたって空爆しました。少なくとも80人が死亡したとみられています。AFP通信などによりますと、ガザ地区北部のジャバリア難民キャンプで18日、避難所の学校がイスラエル軍の空爆を受け、少なくとも50人が死亡したということです。その後、難民キャンプ内の別の建物にも空爆があり、19人の子どもを含む32人が死亡したとみられています。イスラエル軍は北部の住民に南部への退避を呼びかけていますが、ロイター通信によりますと、南部のハンユニスなどでも18日、イスラエル軍の空爆があり、少なくとも47人が死亡しました(19日付「日テレニュース」配信)

 

 

《追記―3》〜杉田議員の“開き直り”、倫理の破壊どこまで!!??

 

 

 自民党の杉田水脈衆院議員は19日、X(旧ツイッター)に、アイヌ文化振興事業の関係者を「公金チューチュー」とやゆした自身の発言を正当化する趣旨の短文を投稿した。民族差別だとする抗議の声に対し「公金チューチューではなく『不正使用』と言えば良かったのか」と書き込んだ。

 

 アイヌ文化振興事業を巡り、政府は15日の立憲民主党主催のヒアリングで「適正に執行され、不正経理はない」(内閣官房担当者)と説明し、杉田氏の主張を事実上否定している。なおもアイヌ民族への偏見と憎悪をあおり続ける杉田氏の言動は、厳しい批判にさらされそうだ(19日付「共同通信」電子版)

 

 

 

 

《追記ー4》〜「イ−ハト−ブ(まるごと賢治)図書館」の実現へ向けて…病院跡地への立地を求めて、署名運動がスタート

 

 花巻市内でフェアトレ−ド店を経営する新田文子さんが主宰する「暮らしと政治の勉強会」など三つの市民団体が、宮沢賢治ゆかりの地「イ−ハト−ブ」にふさわしい“夢の図書館”を目指した全国規模の署名運動を展開中。署名用紙などは以下からラウンロードを。11月23日必着。

 

★新花巻図書館は病院跡地に!の全国署名を10月1日スタートします。署名用紙のダウンロードはこちらから。集まった署名は11月23日必着でお願いします。
「全国署名を全国に広げます!〜これまでの経過説明」はこちらから。おいものブログのカテゴリ−「イ−ハト−ブ図書館をつくる会」は「夢の新花巻図書館を目指して」に変更しました。署名実行委員会の活動も報告していきます。新田さんのURLは以下から

 

 https://oimonosenaka.com/

 

 

 

 

 


2023.11.17:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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