共産党のダッチロ-ル…どこまで続く泥濘(ぬかるみ)ぞー国はふたたび、強権発動:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
共産党のダッチロ-ル…どこまで続く泥濘(ぬかるみ)ぞー国はふたたび、強権発動


 

 市議在任中、沖縄の米軍基地問題に対する日本共産党花巻市議団(2人)の無知蒙昧(もうまい)ぶりに驚かされたが、今度は東京都の小金井市議会(定数24)で、同じ共産党市議団(4人)が同問題の「国民的な議論」の必要性を求めた陳情にいったんは賛成したものの、意見書採択の段階で一転して、反対に回るという前代未聞の出来事が起きた。一枚岩の政治団体と思われてきた公党の“ダッチロ-ル”は目をおおうばかり。その背景にはいわゆる「保守系」だけでなく、「革新」を標榜する地方議員の資質の劣化と一党支配の限界も垣間見えてくる。

 

 発端は小金井市議会の9月定例会に提出された「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の代替施設(「辺野古」新基地)が必要かどうかを広く国民的に議論し、必要となれば本土で民主的に建設地を決めるよう求める」―という内容の陳情。共産党会派のほか、国政政党とつながりがない会派などの13人が賛成して採択された。自民党会派など6人が反対。公明党会派4人は退席した。これを受け、10月5日の本会議最終日で意見書を採択する段取りになっていたが、共産党市議団は態度を一変させ、以下のような反対論を展開した。このため、採択は見送られる結果になった。

 

 「共産党の米軍基地問題と沖縄の普天間基地、辺野古新基地建設についての態度は、在日米軍基地の全面撤去、基地のない平和な日本を目指す、そして普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去、辺野古新基地建設を許さないというものだ。(陳情が)辺野古新基地建設中止を求める内容となっている点で賛成できるものと判断した。しかし、普天間基地の代替施設について、沖縄以外の全国全ての自治体を等しく候補地とすることが明記され、日本国内に米軍基地を移設することを容認する内容となっている。この点でわが党の基本的な立場と異なり、日本共産党が日本国内に米軍基地を造り強化することを容認しているとの誤解を与えるものとなっている」―。

 

 これが党本部の統一見解なら、最初からそう主張すればいいだけの話である。そうでないなら、党本部に抗(あらが)ってでも自説を堂々と押し通せばよい。それにしても、”教条主義”の教科書みたいな主張ではないか。在日米軍は「日米安保条約」とそれに付随する「日米地位協定」に存在規定がある。だからこそ、「安保廃棄・全基地撤去」が共産党の基本的なテ-ゼ(綱領)なのはある意味で当然である。私はむしろ、今回の“椿事”の背景には自党のテ-ゼにさえ「無知」であるばかりではなく、米軍基地を含む沖縄総体に対する「無関心」のなせるわざではないかとにらんでいる。これをひと言でいえば「沖縄差別」ということになろうか。

 

 その良い見本が花巻市議会での共産党市議団の振る舞いだった。当ブログで何度も言及してきたが、せっかくだからざっとおさらいをしておきたい。私は1期目の2010年12月定例会で今回の陳情と同じような趣旨で、「普天間飛行場の訓練の一部を受け入れる考えはないか」と当局の見解をただした。共産党市議団から意想外の反論が浴びせられた。「女性暴行など米兵による犯罪と騒音被害は想像を絶しており、花巻市民がそれを受け入れなければならない理由などない」―。ファシストまがいの物言いに仰天したことを覚えている。さらに、新人議員の私に向かって、慇懃無礼(いんぎんぶれい)にこうのたまわって見せた。

 

 「議員となられて半年を経過したいま、貴議員もすでに理解しておられると存じますが、議会とは市民の願いを実現するために市政に働きかけるのが仕事であり、抽象的な理念や文芸論を披歴する場ではございません。議会の権能と役割、住民の願い向上のための方策への研鑽をさらに深められ、ご活躍されることを願ってやみません」―。今年7月の市議会議員選挙で同党は議席をひとつ増やして、会派結成(3人以上)の栄誉に浴したらしい。この機会に小金井市議会の同僚議員の轍(てつ)を踏まないよう、「研鑽をさらに深められ、ご活躍されることを願ってやみません」―という有難いお言葉をそのまま、お返ししておきたい。

 

 そういえば、2年前の6月定例会に私が紹介議員になって、「日米地位協定」の抜本的な見直しを求める請願が出された際も政府側の常とう手段である「(国の)専管事項」論をタテに反対の旗を振ったのも共産党を含む、いわゆる「革新」側だった。全国市議会議長会が2年前、協定の抜本改定の議案を可決し、全国知事会も今年8月、同じ趣旨の提言を全会一致で採択し、日米両政府に提出した。こうした動きについてもこの人たちは多分、無知・無関心を決め込んでいるのだろう。もっとも、共産党本部自体も野党連立政権「国民連合政府」が実現した場合、「安保廃棄」の凍結を表明するなど立ち位置が定まっていない。沖縄の米軍基地をめぐっては「中央」も「地方」も腰の定まらないダッチロ-ルを続けている。

 

 

 

(写真は辺野古新基地(名護市)の建設が進む大浦湾の海底。スズキ目科の熱帯魚が群生する、“クマノミ城”と名づけられた光景はまるで竜宮城を思わせる=インターネット上に公開の写真から)

 

 

 

《追記ー1》~沖縄からの視座

 

 共産党の変心が「残念で悔しい」という。沖縄出身で東京に住む米須清真(きよさね)さん(30)。地元の小金井市議会に出した陳情に「全面賛同」してくれた議員団が10日後に「間違っていた」と撤回した

 

▼辺野古新基地建設をやめ、普天間飛行場の代替施設が本当に必要かどうか、本土の議論を求める内容。議員から謝罪された米須さんは「公平な政策論争を求めているだけ。謝られても困る」

 

▼代替施設が必要という結論になれば本土の全自治体を候補地にする。ここがまずかった、と共産党は釈明する。日米安保反対の党方針に反するから

 

▼しかし、沖縄では安保を容認する玉城デニ-知事の当選を支えた。最終目標と現時点の選択を区別してのことだろう。とすれば、小金井でも賛成する余地はある

 

▼陳情に反対した自民党、退席した公明党も議論自体は否定できないし、していない。各党が主張を競うのがいい。どういう結論でも当事者として引き受ける責任、米軍占領下で議論の機会もなく本土の基地を押し付けられた沖縄をまた犠牲にしない公正さ。陳情の訴えはシンプルだ

 

▼論点がはっきりしたこと、東京の議員が悩んでいること自体が最初の効果と言えそうだ。同じ陳情は県議会などにも出されている。本土世論をさらに高められるか。沖縄の議員の姿勢も、大きく影響するだろう【10月10日付沖縄タイムス「大弦小弦」】

 

 

《追記ー2》~東京都文京区議会は同趣旨の請願採択

 

 文京区議会(定数34)は今年6月定例会で「沖縄の『辺野古新基地』建設の中止を国に求める」―請願を共産党区議(6人)を含めた賛成多数(自民・公明は反対)で採択、安倍晋三首相らに意見書を提出した。請願者は「文京9条連絡会」。以下に請願の内容を掲載する。花巻、小金井両市議会の共産党議員との、この天と地ほどの乖離は一体、どうすれば生じるのか。大方のご意見を伺えればと思う。

 

 

 沖縄にある米軍基地の大部分は、米軍占領下で造られたものです。米軍基地の集中に伴い、婦女暴行などの刑事犯罪が頻発し、加えてヘリコプタ-の墜落事故なども続発しており、沖縄県民の生活・安全が脅かされています。このような状況下で、沖縄県民は辺野古の新基地建設に反対しています。
 

 理由は、①沖縄にとって命の源ともいえる海を埋め立てることは認められない、②米軍基地は日本の防衛のためのものであり、その負担は全国で平等に負うべきである。沖縄だけへの押し付けは差別である、③辺野古新基地は普天間基地の代替だと政府は言っているが、強襲揚陸船の係船護岸や弾薬庫などを備えた新基地であって代替基地ではない、などです。
 

 わたしたちは、この沖縄県民の辺野古新基地建設反対の理由に賛同いたします。また、沖縄県民の反対を押し切っての新基地建設は、地方自治・民主主義の精神にも反すると考えます。これらの理由から、辺野古新基地建設は中止されるべきだと考えます。わたしたちのこのような請願の理由にご賛同いただき、下記請願を採択され、政府並びに関係省庁に対して要望書を提出していただけるよう要請いたします。

 

 

《特記―3》~東京都武蔵野市議会も

 

 武蔵野市議会は平成15年の9月定例会で、「地方自治の尊重を政府に求める意見書」を可決し、沖縄の米軍基地について、以下のように述べた。

 


 

 日本全土の0.6%の面積しかない沖縄に、在日米軍の専用施設の74%が集中しています。先日も起きた米軍機の墜落や繰り返し発生する米兵の女性に対する暴行事件など、沖縄県民はこの米軍基地に苦しめられ続けています。沖縄が、第二次世界大戦において本土防衛の捨て石とされ、総人口の5分のlにあたる12万・人の民間人が地上戦で犠牲となり、戦争終結後も1972年の本土復帰まで27年間、米軍の軍政下に置かれてきたことを考え合わせれば、これ以上の犠牲を沖縄県民に押しつけることは許されません。

 ところが、日本政府は、「世界一危険な基地」である普天間基地の返還のかわりであるとして、辺野古に新基地建設を決め、昨年11月の沖縄県知事選挙や暮れの衆議院議員選挙で、沖縄県民から、はっきりとした基地建設反対の声が示されたにもかかわらず、その建設を強行しようとしています。普天間基地も、もともと沖縄県民の土地を一方的に取り上げて作られたものです。それを返還するからと言って、どうして、ジュゴンやアオサンゴ、260種以上の絶滅危倶種を含む多様な海洋生物が生息する辺野古・大浦湾を埋め立て、環境を無残にも破壊して、辺野古に新基地を建設しなければならないのでしょう。

 
沖縄戦の最大の教訓は、「軍隊のいるところで住民は戦争に巻き込まれて死ぬ」というものです。新基地建設による基地強化は、沖縄県民を再び戦争の惨禍に巻き込む危険性を高めます。また、繰り返し示された沖縄の民意を踏みにじって、辺野古基地建設を強行することは、地方自治の侵害と言わざるを得ません。よって、武蔵野市議会は、貴職に対し、地方自治を尊重し、辺野古新基地の建設を強行しないことを求めます。以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 

 

《追記ー4》~「辺野古」、国が対抗措置

 

 【東京】岩屋毅防衛相は17日午後、名護市辺野古の新基地建設に伴う県の埋め立て承認撤回を受け、行政不服審査法に基づく対抗措置を取ったと表明した。防衛省で記者団に対し「(同法は)できるだけ迅速に問題に答えを出すために用意されている法律だ。迅速に当面の問題を解決し、目的達成に向かって進みたい」と強調し、辺野古移設を一日も早く進める考えを示した。

 防衛省は同日、石井啓一国土交通相に対して行政不服審査法に基づく審査請求と、処分が出るまで撤回の効果を止める執行停止を申し立てた。執行停止が認められば、工事は再開される見通し。行政不服審査法に基づく対抗措置を巡っては、国が「私人」になりすまして同じ政府内の省庁に救済を申し立てることへの批判がある。岩屋氏は「一般私人だけでなく、国や地方公共団体に対する処分も、審査請求ができるものになっている」と説明した。

 9月の知事選で新基地建設に反対する民意が示されたことに関しては「真摯に受け止めなければいけない」としつつ、「大きな目標を達成するために前に進ませていただきたい」と辺野古移設の必要性を語った。【10月17日付琉球新報電子版】

 

 

《追記―5》~沖縄在住の芥川賞作家、目取真俊さんのブログ「海鳴りの島から」

 

 安倍政権が辺野古新基地建設工事の再開に向けて動き出した。〈石井啓一国土交通省に対して行政不服審査法に基づく審査を請求し、処分が出るまで撤回の効果を止める執行停止を求めた〉(2018年10月18日付琉球新報)。安倍首相と玉城知事の面会が行われたのは12日だ。1週間も経たずして…、というより、1度は会っておいた、というアリバイ作りだったわけだ。

 

 県知事選挙で示された8万票の大差という民意を踏みにじるだけではない。沖縄では今日から那覇市長選挙が3日攻防に入り、県議会では県民投票についての論議がなされている。そんなのどうでもいい、という姿勢をあえて示すことで、安倍政権の「本気度」を強調したということだ。なりふり構わないその姿勢は、機動隊や海保という暴力装置を前面に出して、これからも工事を強行するという宣言でもある。

 

 沖縄が憲法や民主主義の番外地に置かれている状況は、いまに始まったことではない。選挙でどういう結果を出しても政府は一顧だにしない。そういう姿勢を示すことで、沖縄県民を無力感と絶望感に陥らせ、何をやっても国には勝てない、という諦めを植えつける。これまでもくり返されてきた日本政府の手法だが、では、安倍政権の沖縄に対する凶暴な姿勢を許しているのは誰なのか。

 

 安倍首相も管官房長官も分かっているのだ。沖縄からどれだけ怒りと反発の声が上がっても、大半の日本人=ヤマトゥンチュ-が呼応して行動を起こすことはなく、政権への支持率が低下することもない。だから平気で沖縄に基地を押しつけ、暴力を行使することができる。沖縄県知事選挙から元気や希望をもらったというなら、全国各地で辺野古の工事再開を止める行動を起こしてもらいたい。行政不服審査制度を国が使う問題は、多くの専門家から批判されてきた。にもかかわらず再度その手法を使う。専門家も市民もそこまで安倍政権になめられているのだ。行動しなければ何も変わらない(10月18日付)

 

 

《特記―6》~県都・那覇市長も「辺野古」反対

 

 任期満了に伴う那覇市長選は21日投開票され、無所属現職の城間幹子氏(67)が、無所属現職で前県議の翁長政俊氏(69)=自民、公明、維新、希望推薦=を破り、2期目の当選が確実となった。城間氏は9月30日の知事選で勝利した玉城デニ-知事と同じ「オ-ル沖縄」の組織体制を維持して盤石の選挙運動を展開し、労組や企業などの組織票に加え、無党派層にも支持を広げた。

 

 「オ-ル沖縄」勢は、宜野湾市長選は落としたが、知事選、豊見城市長選に続く勝利となった。選挙結果は玉城デニ-知事の県政運営に追い風となりそうだ。那覇市長選は、子育て施策や街づくりなどを争点に論戦が繰り広げられたほか、1期4年の城間市政への評価も問われた。城間氏が当選したことで、市民は市政運営を信任した形だ。認可保育園の増設による待機児童数の減少など、安定的な市政運営が評価された(10月21日付「琉球新報」電子版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 


 

 


2018.10.16:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
”蜘蛛の巣城”

 竜宮城を思わせる海底の光景とは対照的に大浦湾の周辺には有刺鉄線やフェンスがぐるりと張りめぐらされ、まるで”蜘蛛の巣城”をほうふつさせる。人智を排除しながら、国は「辺野古」新基地の建設に向けて、ふたたび強権発動に踏み切った=写真は豊里友行写真集『おきなわ 辺野古―怒り・抵抗・希望』から

2018.10.18 [修正 | 削除]
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