イーハトーブの地からロシアのウクライナ侵攻に抗議……花巻市議会:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

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イーハトーブの地からロシアのウクライナ侵攻に抗議……花巻市議会


 

 花巻市議会は4日開催の3月定例会本会議で、ウクライナに対するロシアの軍事侵攻に対し、厳重に抗議する声明文を全員一致で可決した。5人の発議で提出された文章には「国際社会の平和と安全を著しく損なう、断じて容認することができない暴挙である。武力を背景とした現状変更への行為は明白な国際法違反であり、国際秩序の根幹を揺るがすもので看過することができない」と強い意志が示された。

 

 質疑の中で「当地は世界平和を願った宮沢賢治のふるさと。たとえば、世界中で知られる賢治の言葉(『世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない』など)を入れた方がウクライナへの連帯をより強く、訴えることができたのではないか」などという意見が出た。これを受けた形で、羽山るみ子議員(花巻クラブ)は賢治の『雨ニモマケズ』の一節…「北ニケンクワヤソシヨウガアレバ/
ツマラナイカラヤメロトイヒ」という部分を引用した上で、こう賛成討論をした。

 

 「賢治はこの詩の中で、苦難に寄り添う姿をあえて『行ッテ』と表現している。遠いウクライナの地には簡単には行くことはできないが、せめて心だけでも飛んでいきたい。非核平和都市を宣言しているイーハトーブ(賢治の理想郷)から、一刻も早い平和的解決を…」

 

 感動的な光景を議会中継の画面で見ながら、私はまもなく11年目を迎える「3・11」(東日本大震災)のことを考えていた。目の前に広がる瓦礫(がれき)の荒野は今まさにウクライナの地で繰り広げられている悲劇の惨状と重なっていた。福島原発事故の発生を1週間後に控えたいま、今度はロシアによって人為的に原発が砲撃されるという人類史上、初めての蛮行が行われている。人類は滅亡に向かって歩みを始めているのかもしれない。

 

 刹那(せつな)、思った。あの時も賢治に背中を押されるようにして、世界中からボランティアが駆けつけた。ワシントンやロンドンでは英訳された『雨ニモマケズ』が朗読された。そして、ハタと心づいた。「そう、戦争から平和への橋渡しをするのが賢治だったのだ」と―。そんな地に生かされている自分の幸せを思うと同時に、その責任の重さがのしかかってきた。

 

 

 

(写真は時折声を詰まらせながら、ウクライナへの連帯を呼びかける羽山議員=3月4日午後、花巻市議会議場で、インタ−ネット中継の画像から)

 

 

 

 

 この日発議案第1号として、可決された「ロシアによるウクライナ軍事侵攻に断固反対する決議」の全文は以下の通り(市HPから)

 

 ロシアは2022年2月24日、ウクライナへ軍事侵攻を行った。これは、国際社会の平和と安全を著しく損なう、断じて容認することができない暴挙である。武力を背景とした現状変更への行為は明白な国際法違反であり、国際秩序の根幹を揺るがすもので看過することができない。よって、ロシアに対し、ウクライナへの軍による攻撃や主権侵害、核兵器の使用を示唆する発言に断固として抗議するとともに、軍を即時無条件で撤退させるよう強く求める。いま、緊急に求められるのは、ウクライナの人々の命と主権を守ることである。花巻市議会は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に強く反対する。以上、決議する。

 

令和4年3月4日 岩手県花巻市議会

 

 

 

《追記ー1》〜ホロコ−ストの悪夢!!??

 

 ロシアによる軍事進攻によって、祖国を追われたウクライナ難民は6日現在、136万人にのぼっていると伝えられるが、その一部は隣国ポ−ランドの古都・クラクフに向かっているという。第2次世界大戦中、ナチス・ドイツによって、ホロコ−スト(ユダヤ大虐殺)が行われたこの地こそが、人類の“負の記憶”―アウシュビッツである。かつて、敵国としてドイツと相対峙したロシヤが今度は同じ蛮行を繰り返そうとしている。歴史はくり返すのか。

 

 

《追記−2》〜オーエルの予言が現実に!!??

 

 1950年代、核戦争に発展した“第3次世界大戦”後の超大国の分割統治を予言した、英国の作家、ジョ−ジ・オ−エルのディストピア小説『1984』(1949年刊)がロシアによるウクライナに対する軍事侵攻でまさに、現実のものになりつつある。

 

 オ−エルは全体主義国家の支配原理について、「二重思考」(ダブルシンク)という語法を用いてこう記した。「戦争は平和なり/自由は隷従なり/無知は力なり」―。独裁者・プ−チンの口を借りればこうなるのだろう。「今回の侵攻は”平和“をもたらすための自衛の”戦争”である。私に付き従うことこそが“自由”なのであり、何事にも無関心でいることが“力”の源泉である」―。世界はいま、「第3次世界大戦」の瀬戸際に立たされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2022.03.04:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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