ダッチロ−ルをしながらも、「城跡」の一部取得に“含み”!!??:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
ダッチロ−ルをしながらも、「城跡」の一部取得に“含み”!!??


 

 「歴史的にも由緒ある場所でもあり、史跡保存の立場から上部平坦地を取得することについて、今後の検討を排除するものではない」―。6日開催の花巻市議会一般質問で、羽山るみ子議員(はなまき市民クラブ)が新興製作所跡地(花巻城址)の跡地利用についてただしたのに対し、上田東一市長が初めて、取得に“含み”を持たせる発言をした。「新興跡地」問題は所有者が民間の手に移って、すでに7年以上が経過。市側は一時、かつて“東公園”(旧三の丸)と呼ばれた「上部平坦地」の取得に動いたことがあったが、新興製作所側が部分譲渡を拒否したため、宮城県内の不動産業者「メノア−ス」の手に渡った経緯がある。

 

 その後、メノア−スに対しては解体費用の未払いなどで破産が宣告され、今月2日に開催された債権者集会で、管財人から今後の取り扱いが報告された。この日の質疑で上田市長は「現在、図面を取り寄せて史跡保存の是非を現場で検討している。市民が取得を望む場合は一般財源を充当することになると思う」とこれまでより、一歩踏み込んだ答弁をした。羽山議員はこれを受け「城跡はまちづくりの生命線。ぜひ、いったん市の所有に移し、将来の利活用については広く市民の声を集約してほしい。この際、ふるさと納税を活用するという選択肢もあるのではないか」と要望した。

 

 これに対し、上田市長はいきなり「反問権」を振りかざして、「ただ、あくまでも市民の意向次第。利活用に至るまでは最大で15億円以上の費用がかかるという試算もある。市民の側が果たしてウンというかどうか。それに厳密な意味で、新興跡地は花巻城の城跡ではないんですよね」とダッチロ−ルを繰り返した。東公園はかつては野外音楽堂を併設した桜の名所として知られ、宮沢賢治の数多くの作品に登場する舞台でもあった。また、上田市長の先祖が江戸末期、城の大改修工事の指揮をとったことも史実が伝えている。念のため、新興跡地はかつて花巻城があった「城址」であることは、花巻市史で確定した史実であることを申し添えておきたい。

 

 「新興跡地を市民の手に!あきらめるのはまだ早い」―。地域住民や医師、郷土史家、新興製作所OB…。市民200人以上が詰めかけた市民総決起大会が開かれたのは2015年1月12日。あれから7年以上を経たいま、破産宣告という土壇場の場面でふたたび、ボ−ルは上田市長から市民の手へ。今度こそ、私たち市民の側がイ−ハト−ブ(賢治の理想郷)の将来に向けてきちんと応答する責任がある。まこと、「あきらめるのはまだ早い」……。ここは「市民の意向を最大限、尊重する」という上田市長の政治姿勢に期待することにしておきたい。

 

 

●「城址(しろあと)の/あれ草に臥(ね)てこゝろむなし/のこぎりの音まじり来(く)」(賢治)……

 

 

 

(写真は今後の命運が注目される新興跡地。上部の石垣状の部分が旧東公園=花巻市御田屋町で)

 


2022.09.06:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
この記事へのコメントはこちら
題名


本文


作成者


URL


画像

編集用パスワード (半角英数字4文字)


 ※管理者の承認後に反映されます。
ゲストさんようこそ
ID
PW

 合計 40人
記事数
 公開 3,360件
 限定公開 0件
 合計 3,360件
アクセス数
 今日 1,243件
 昨日 12,000件
 合計 18,145,616件
powered by samidare
system:samidare community