黒塗り文書から「見えるもの」…被爆地ヒロシマでも図書館移転をめぐる”のり弁”騒動!!??〜「平和のシンボル」としての図書館を求める声も:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

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黒塗り文書から「見えるもの」…被爆地ヒロシマでも図書館移転をめぐる”のり弁”騒動!!??〜「平和のシンボル」としての図書館を求める声も


 

 JR広島駅前の商業施設か、あるいは平和記念公園近くの現在の公園地内か―。被爆地ヒロシマで続いていた市立中央図書館の「移転・立地」問題について、市側は今年1月「公共交通の結節点で来館者増も期待できる」などどして、第3セクタ−が運営する駅前の商業施設へ移転することを正式に決めた。一方、「広島文学資料保全の会」(土屋時子代表)など市民団体は「中央図書館には児童文学者の鈴木三重吉や原爆詩人の峠三吉の自筆原稿などの貴重な資料が収蔵されている。あの悲劇の記憶を風化させないためにも、平和公園に近い現在地がふさわしい」などとして、署名活動を続けている。

 

 同じ問題を抱える当市の住民として、新花巻図書館の構想経緯を明らかにするよう再三、文書開示請求をしてきたが、ほとんどが真っ黒く塗りつぶされていたことは当ブログで紹介したとおりである。今回、広島市でも“のり弁”騒動があったことを知り、密室化した行政の闇の深さを思い知らされた。「他山の石」を肝に銘じるため、以下にWEBサイト「JBpress」に掲載された論考(要旨)を転載する。なお、全文は以下のアドレスから―

 

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/75895?fbclid=IwAR2Fs8bcwJ5Q_G7-4dYPOXnWviNe3Zhi_5qFnUtcU7ESlaa6K-JPe24rEPk_aem_Ac5MlTFqJYe42NSB3aKUeqQD2Gl8cICLFQTRXpBCLKXj3ZU5xacyh_uDsR_V-bv7d4o

 

 

●全国津々浦々で起きている黒塗りで開示される公文書

 

 「いわゆる『のり弁』って、国会とか国政だけのことかと思ってました」「自分のまちでもこんなに黒塗りがあるなんてびっくりしました」。少し前、何人かの方に立て続けにそんなことを言われて、正直わたしは驚いた。「のり弁」とは、一応説明しておくと、開示請求を受けて公開された公文書がべたっと黒塗りで目隠しされている、例のアレのこと。

 

 確かに、桜を見る会や「アベノマスク」、東京オリンピックなど、東京方面からのニュースで、のり弁が大々的に報道されることが多い。だが、黒塗りは別に、国に限ったことではない。地方都市である、わたしが暮らす広島市にも、たくさんある。新聞社に勤務していたころから、何度か情報公開請求を取材の一環としてやってきたし、読者や市井の人々も、のり弁なんて全国津々浦々あるということを、知っているものだと思っていた。

 

●議論が済み、結果が出てから開示された図書館移転計画

 

 冒頭のようなセリフを言われたのは、広島市のある市政課題について、情報公開請求をしたときだった。広島市が、来年で築50年を迎える市立中央図書館を、平和記念公園近くの現在地から、JR広島駅前に移転する――。そんな計画が持ち上がった2021年秋以降、私は情報公開請求を重ねてきた。現在地である、原爆ドームがある平和記念公園北側に広がる緑豊かな中央公園の中で移転建て替えをする、という方向性が一旦示されていたにも関わらず、広島市の第三セクターが運営する、築24年が経過している商業ビルに移転するという計画が突然持ち上がり、判断材料となる資料などが示されないまま議論が拙速に進んでいる印象が否めないと感じたのが、請求のきっかけだった。

 

 請求の結果、疑念が晴れることはなかった。建物の耐震性に関する資料や、複数案の比較検討業務を受注した業者と広島市との間のやり取りの文書など、重要な情報は、黒塗り、あるいは「開示しない」との決定が出された。納得がいかなかったのは、「内部検討段階の資料だから」との理由で「開示しない」とされたものが、市の計画通りに商業ビルへの移転が決まった後、開示されたことだ。

 

 広島市情報公開条例は、第7条において、不開示にできる場合としていくつかのケースを掲げている。そのうち、公にすることによって競争上の地位など正当な利益を害するおそれがある場合、または、公にしないとの条件で任意に提供されたもので、通例として公にしないこととされているものなど性質や状況などに照らして不開示にすることが合理的であると認められるもの、などとする規定に該当するというのだ。

 

●報道側は「黒塗りでした」と報じてきただろうか

 

 広島市が募った市民意見募集では、駅前ビルへの移転への賛成意見の約5倍にも上る反対意見が寄せられるなど、図書館利用者らの関心を大いに集めた問題だった。がゆえに、目の前で進められている計画について、必要な議論を深めるためにも、最終判断が出されてしまう前に、市の計画の根拠となっている資料や検討過程をつぶさに見たいと思うのは当然のことだ。だが、実態は、議論が済んでから、結果が出てから開示されたのだ。

 

 記者であるわたしだけではなく、市の計画の進め方に異議を唱える市民も、情報公開請求に臨んでいた。商業ビルへの移転が決まった後も、引き続き計画撤回を求めて開示請求を重ねてきた男性は、市議会に請願を提出し、6月29日の委員会で趣旨説明をした。「確認ができませんでした」「議会に提出されませんでした」「図面は公開されませんでした」…。ないないづくし。そして、「クリアすべき課題が山積している」と批判した。この日、傍聴席はほぼ満員だったが、報道関係者席はほぼ空席だった。

 

 

 

 

(写真は黒く塗りつぶされた広島市立中央図書館の関連文書=インターネット上に公開の写真から)

 

 

 

《追記》〜「平和のシンボル」としての被爆地の図書館

 

 下記の投書は当事者の司書からだけに説得力があるが、残念ながら、当市の新花巻図書館の立地場所について、司書当事者からの考え方を聞いたことはない。

 

 「この図書館は、被爆についての文献資料を網羅的に収集し、多くの被曝者が被爆体験記を納めています。遺言のようにつづられたその声に触れるため、故井上ひさしさんら作家たちも通い、被爆の実相を伝える作品を生んでいったと聞きます。ここに集う人は、平和記念公園に続く静かな環境で、被爆者から私たちに残された声を聴くのです。郷里の広島で被爆した詩人、原民喜は詩『永遠(とわ)のみどり』で、『ヒロシマのデルタに/青葉したたれ』とうたいました。みどりは平和です。中央図書館が今の場所で再建され、被爆地の図書館としての使命を果たしていくよう望みます」(司書 竹原陽子=広島県・46歳)=2022年12月25日付朝日新聞「声」欄から

 


2023.07.07:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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