これって、官製“詐欺”ではないのか…旧「菊池捍」邸をめぐるダブルスタンダード(二枚舌)…賢治寓話『黒ぶだう』モデル説の“真偽”論争にも波及か!!??:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
これって、官製“詐欺”ではないのか…旧「菊池捍」邸をめぐるダブルスタンダード(二枚舌)…賢治寓話『黒ぶだう』モデル説の“真偽”論争にも波及か!!??


 

 「宮沢賢治の寓話『黒ぶだう』の舞台になったということを仰(おっしゃ)る方もいますが、それが正しいかどうか分かりませんが、文化財としての評価をされたという意味では、市として残したい建物ではあると思います。しかし、残すためにはどうやって維持していくのか、しっかり考えなくてはならない」(令和5年3月定例記者会見)―。上田東一市長のこの答弁を聞きながら、不意打ちを食らったような衝撃を受けた。花巻市が新しいふるさと納税(イーハトーブ花巻応援基金)として、宮沢賢治が作詞・作曲した「星めぐりの歌」にあやかった新商品を売り出すなど、最近、過剰な賢治“利用”が目についたため、舞台裏を調べているうちに、この上田発言にぶち当たった。

 

 当市の中心部・御田屋町の一角に洋館風の瀟洒(しょうしゃ)な2階建ての建物が建っている。農業技術者として名を成した菊池捍(まもる)=1870〜1944年)が大正15年に建てた自邸で、文化庁の「国登録有形文化財」の指定を受けている。また、北海道帝国大学の初代総長の佐藤昌介は菊池の義理の兄に当たる。上田市長が上記記者会見で、マンガふるさと偉人『佐藤昌介物語』を作成したことについて説明した際、記者からこんな質問が出た。

 

 「佐藤昌介さんとも関連がある旧菊池捍邸が国の登録有形文化財に登録された。まちの中心部にあり、今後まちづくりのために有効活用が期待される声もあるが、市としての今後の活用方法は」―。冒頭の上田答弁はこの質問には直接答えずに、いきなり『黒ぶだう』との関係に言及した。予防線を張ったのであろうか、いずれにせよ、不可解な問答である。しかし、虚を突かれたのは実は私の方だった。『黒ぶだう』をめぐっては、一部の賢治研究者らの間でさまざまの状況証拠から「その舞台(モデル)は旧菊池捍邸だ」という解釈がなされ、いまではある意味で“定説”になりつつあった。私自身もこのモデル説に納得してきた立場である。

 

 ところが、上田市長がいまになって、この定説に距離を置くような発言をしたことに逆にびっくりしたのである。その根拠はどこにあるのか…。これまでも『黒ぶだう』モデル説については、一部で疑義を呈する声もあったが、市長発言となると重みがちがう。今後、“真偽”論争に発展する可能性があるが、それはこれからの課題とし、今回は別の観点からこの件の問題点を指摘したい。以下の文章をじっくり、読んでいただきたい(再掲、7月24日及び同27日付当ブログ参照)。当市のふるさと納税の案内広告((HPのふるさとチョイス)には以下のように書かれている。

 

 

●「花巻黒ぶだう牛」は、花巻が世界に誇る株式会社エーデルワインが製造するワインのぶどうの搾りかすを飼料として給与しており、さらりとした脂と豊かな風味が特徴です。花巻出身の詩人で童話作家の宮沢賢治の寓話(ぐうわ)『黒ぶだう』で仔牛がぶどうを食べる描写があることから名づけられた、花巻ならではの「ブランド牛です!

 

 寓話『黒ぶだう』は、花巻市御田屋町の旧菊池捍邸が舞台とされ、赤狐に誘われた仔牛が、留守の人間の別荘に入り込み勝手に「黒ぶだう」を食べていたところに住人の公爵一行が帰宅し、逃げ遅れた仔牛は見つかってしまいますが、怒られもせず、逆に黄色いリボンを結んでもらうというものです。物語の中で、赤狐はぶだうの汁ばかり吸って他は全部吐き出しますが、仔牛は「うん、大へんおいしいよ」と種まで噛み砕いて食べてしまいます。賢治は、当時すでに、ぶどうの搾りかす(皮と種)が家畜の餌として使えることに気づいていたのかもしれません●

 

 

 旧「菊池捍」邸の『黒ぶだう』モデル説に疑義を呈す一方で、案内広告ではその関係性をこれ以上ないほどに強調するという“二枚舌”に驚いてしまう。寡聞にして、これ以上の“詐欺手法”を知らない。“虚偽“広告、いや「偽(にせ)ブランド」とさえ言える。花巻市は令和5年度のふるさと納税ランキングで、全国市町村(1735団体)の中で13位につけ、寄付総額は前年比約2倍の90億6千万円に達した。しかし、その背後には『黒ぶだう』モデル説に垣間見るような“賢治利権”の黒い闇がうごめいているような気がしてならない。

 

 

 

 

(写真は返礼品の人気商品のひとつ、「サーロインステーキ」用の黒ぶだう牛=花巻市のふるさとチョイスのカタログから)


2024.08.17:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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