「本屋大賞」に花巻出身・在住の阿部さん…図書館“迷走劇”のさ中の朗報〜片や、市職員の不祥事も明るみに!!??:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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「本屋大賞」に花巻出身・在住の阿部さん…図書館“迷走劇”のさ中の朗報〜片や、市職員の不祥事も明るみに!!??
2025.04.09:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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全国の書店員が“今いちばん売りたい本”を決める「2025年 本屋大賞」の大賞作品が9日に発表され、当市出身・在住の阿部暁子さん(39)の『カフネ』(講談社)が大賞に選ばれた。今回で第22回目となる同賞には上位10作品がノミネートされ、恩田陸や一穂ミチ、青山美智子、朝井リョウなど人気作家の作品を中から、堂々と大賞を射止めた。まるで、“不動産”物件さながらの「図書館」騒動に辟易(へきえき)していた矢先の朗報。「本とは、図書館とは…」。これをきっかけに今度こそ、本物の図書館論議が盛り上がることを期待したい。
阿部さんは県立花巻北高校を卒業。2003年、第18回全国高等学校文芸コンクール(小説部門)で、最優秀賞を受賞したのを機に執筆活動へ。2008年、『いつまでも』(刊行時に『屋外ボーイズ』に改題)で、第17回ロマン大賞を受賞し、作家デビューした。著書に『どこまでも遠い場所にいる君へ』『また君と出会う未来のために』『パラ・スター(Side宝良)』『金環日蝕』『カラフル』などがある。
法務局に勤める野宮薫子は、溺愛していた弟が急死して悲嘆にくれていた。弟が遺した遺言書から弟の元恋人・小野寺せつなに会い、やがて彼女が勤める家事代行サービス会社「カフネ」の活動を手伝うことに。弟を亡くした薫子と弟の元恋人せつな。食べることを通じて、二人の距離は次第に縮まっていく…。『カフネ』はこんな展開で進んでいく(ORICON NEWS)から)
阿部さんは受賞の喜びをこんな表現で語った。「すごい賞をいただいてまだ実感がわかない。自分がお茶わんだとすると、器からはみ出そうなくらいのご飯を盛られたような感じ」(9日付「東京新聞」電子版)。その一方で、第1回本屋大賞受賞作の小川洋子さんの『博士の愛した数式』を大学に入学した2004年に読んだことに触れ、「すごく心を打たれて、このような物語を死ぬまでに書けるようになりたいと強く思いました。長い時間がたって、今ここに自分が立たせてもらっていることを、本当に光栄に思います」(NHK)と話した。
「今日は本当はつなぎの服を着てごついブーツを履いて、髪をお団子にして来ようと思っていたんですが、担当さんと家族に“やめておけ!”と言われたので(笑)」―。受賞式ではこんな一幕もあり、会場は笑いに包まれた。思わず、当市出身の童話作家の柏葉幸子さん、そして宮沢賢治と重なるような感性を阿部さんに感じてしまった。その柏葉さんは2022年、『帰命寺横丁の夏』で英語に翻訳され、米国で出版された最も優れた児童書に贈られる「米バチェルダー賞」を受賞している。同書はドイツ、韓国、ロシア、そしてインドネシアでも翻訳出版され今、世界中の注目を集めている。
この5年余り、「イーハトーブはなまき」は「図書館抜き」の“立地”論争に明け暮れてきた。その結果、およそ文学的な議論をわきに置いたまま、新図書館の駅前立地が決まった。「図書館とは何ぞや」という本格的な議論は基本計画の策定に向けたこれからが本番となる。
そんな折しも、阿部さんはこれ以上ないようなタイミングで『カフネ』という人間愛に満ち溢れた物語を私たちにプレゼントしてくれた。さらに、柏葉さんは今年2月、インドネシア語に翻訳された自著のトークイベントに招かれるなど「イーハトーブ」からの発信に忙しい日々を送っている。手をこまねいているわけにはいかない。早急に”図書館”王道論に向けた議論を始めなければならない。
(写真は「本屋大賞」を受賞した阿部さん=インターネット上に公開の写真から)
《追記ー1》〜行政トップの「図書館」像というか「賢治」観とは!!??
阿部さんの「本屋大賞」受賞というビッグニュースが飛び込んだと同じこの日、上田東一市長が3月定例記者会見の質疑でこう述べていた。「花巻は賢治のまちであるから、賢治にゆかりのある場所に建設するべきという強い意見をお持ちの方々もいらっしゃいます。でもそれについては、市民会議の中でも図書館の場所と宮沢賢治ゆかりの場所であることは必ずしも結びつかないんじゃないかという意見の方もたくさんいらっしゃいました」(市HP)
一体全体、「賢治ゆかりの地」とはどこを指すのか。そもそも「賢治ゆかり」とは何を意味するのか―さっぱり、伝わってこない。これって、“東大論法”というのだろうか。あるいはまた、単なる文学“音痴”なのか。阿部さんの登場が余りにも鮮烈すぎたせいか、「駅前図書館」のイメージがますます貧相に見えてきた。当の阿部さんはある雑誌のインタビューでこう語っている。「宮沢賢治が生まれた岩手県花巻市で育ちました。周りに自然が多いので、昔話を聞いていても普通にそのへんで起こりそうだなと感じていました。小さい頃からわりと、空想力が強めだったようです」(「WEB本の雑誌」)
《追記―2》〜「魚は頭から腐る」、いや「鰯の頭も信心から」!!??
13日付の市HP上に上田東一市長のこんなコメントが掲載された。「この件について、現時点では報道されている情報しか把握できていない状況です。今後、事案の詳細を確認した後、市としての対応を検討してまいります。誠に遺憾であり、市民の皆さまに深くお詫び申し上げます」
この件とは「令和7年4月12日(土曜)、午後4時30分頃、岩手県北上市の商業施設で、当市職員(49歳)が約1,000円相当の商品を盗んだ疑いがもたれ、店からの通報を受けて駆け付けた警察官により、同日午後5時30分頃に現行犯逮捕されたもの」(同HPより)―。「魚は頭から腐る」という一方で、「鰯(いわし)の頭も信心から」とも。「イーハトーブはなまきは」は頭から爪先まで内部崩壊の危機に。市長が口癖の「コンプライアンス」(法令遵守)も「ガバナンス」(内部規律)も木っ端みじんにぶっ飛んじゃった。「The End」
《追記ー3》〜パブリッリ・コメント「第2弾」
「新花巻図書館整備基本計画」(案)に対するパブコメ(意見公募)について、4月1日に続いて本日(17日)、以下のような「第2弾」を送った。
・「基本計画」(案)は三つ基本方針の筆頭に「郷土の歴史と独自性を大切にし、豊かな市民文化を創造する図書館」―を掲げ、その精神は先人の偉業をたたえた「鶴陰碑」にさかのぼるとしている。現在、この碑は市博物館に移設・展示されているが、かつては旧花巻城三の丸(のちの東公園)に建っていた。
戦後、当該地は旧新興製作所の社有地となったが、同社が移転して以降は荒れるに任せたまま放置されている。さらに、現在は所有者が存在しない状態になっており、災害時や景観上の不安も高まっている。仮に来館者が新図書館の理念が宿る由緒あるこの地が廃墟と化している現実を知った際の落胆は思いに余りある。新花巻図書館の開館に合わせ、いわゆる「新興跡地」の改修を進めてほしい。
・新花巻図書館の開館時における館長は庁内人事のたらい回しではなく、広い知見を有する人材を求めるために「公募制」を導入してほしい。