図書館“所管“論争の雲泥の差…上手の手から、”本音”がポロリ〜議会運営の先行きに不安!!??:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

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図書館“所管“論争の雲泥の差…上手の手から、”本音”がポロリ〜議会運営の先行きに不安!!??


 

 「首長部局と十分に協議し、調整を進めてきた」―。8日開会した花巻市議会9月定例会の一般質問で、伊藤盛幸議員(緑の風)が新花巻図書館の「駅前立地」に関連し、「これまでの経緯を検証すると一貫して、首長主導で進められてきたとしか考えられない。本来、図書館行政は教育委員会の所管に属するはずだが、その職務権限をどう考えているか」とただした。この案件で真っ先に手を挙げるのはいつも、上田東一市長と相場が決まっていたが、質問内容から市教育委員会の佐藤勝教育長が答弁に立った。これまでに見られなかった光景だけに思わず、身を乗り出して議会中継に見入った。

 

 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地方教育行政法)や「地方自治法」などを振りかざしながら、佐藤教育長は首長部局への“丸投げ”疑惑を必死の形相で否定した。ここでちょっと、おさらいをしておきたい。「花巻市教育委員会の権限に属する事務の補助執行に関する規則」(平成19年3月)にこんな定めがある。いわゆる「補助執行」規定で、執行事務は「花巻市立図書館に関すること。花巻市立図書館協議会に関すること」で、担当職員は「生涯学習部長、新花巻図書館計画室の職員及び図書館の職員」に限定されている。

 

 伊藤議員はこの点について、「令和元年の地方教育行政法の改正によって、関連条例の制定を前提に図書館や博物館、公民館その他の社会教育に関する教育機関も市長の管轄下に置くことができるとされた(「花巻市教育に関する事務の職務権限の特例を定める条例」=平成20年12月)。しかし、当市ではこの条例化に踏み切らないまま、現在に至っている。首長部局の独走と見られても致し方ないのではないか」と問いただした。答弁を促された上田市長がやや、戸惑いながら挙手をした。「確かにその点について、教育委員会側とは協議しなかった」と暗に首長主導を認めた一方で、「法律上の瑕疵(かし)はなかった」と問答無用とばかりに切って捨てた。

 

 「さかのぼれば、令和2年の住宅付き図書館の駅前立地(新花巻図書館複合施設整備事業構想)がつまずきの原因ではなかったか。定住人口の増加や賑わい創出などまちづくりの観点から、この構想は当時としては納得できる部分もあった。だからこそ、この構想が白紙撤回された段階で、教育委員会との連携を密にした図書館立地へと舵を切るべきではなかったか」―。伊藤議員がさらに追い打ちをかけると、上田市長は突然色をなし、激しい口調で反撃を始めた。

 

 「何を言ってるんですか。私たちは一度だって、(JR花巻駅との)複合化を考えたことはありませんよ。ここで断言しておきます」―。中継を聞いていた私はまた、“本音”が漏れたなと妙に納得した。伊藤議員の質問の趣旨は住宅付き図書館に付随する子育て施設やテナントなどとの“複合化”だったが、上田市長は何を勘違いしたのか、図書館と駅橋上化(東西自由通路)との複合化(いわゆる「ワンセット」疑惑)についての質問だと早とちりしたみたいだった。裏返せばよっぽど、この疑惑に触れられることは避けたかったということなのだろう。この二つの巨大プロジェクトの“別物”論を強調しなければならない闇の構図がほの見えてくるではないか。ある意味、正直な人なのかもしれない。

 

 それにしても、国からの補助金の減額によって、静岡県立図書館が計画変更(3日付当ブログ「追記」参照)を迫られた責任追及の矢面に立たされているのは当市とは真逆の教育部局の担当者たちである。図書館“所管”論争の雲泥の差をここに見る思いである。なお、補助執行の件については今議会に陳情が提出されており、9月18日に付託先の文教福祉常任委員会で審議される。陳情内容については下記から。

 

第3号陳情 生涯学習・社会教育行政の所管体制の是正と補助執行制度の適正化を求めることについて (PDF 66.7KB)新しいウィンドウで開きます

 

 

 

 

(写真は法律論をタテに教育部局と首長部局の正当性を主張する佐藤教育長=9月8日午後、市議会議場で=インターネットの中継画面から)

 

 

 

《追記》〜メディアコスモスとは真逆の対応〜条例化を見送ったことに見る上田市政の“強権”支配!!??

 

 令和元(2019)年6月付で「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地方教育行政法)が改正され、条例化を前提にしたうえで図書館を含めた社会教育機関も首長部局の管理下に置くことができる職務権限の特例措置が設けられた。ところが、8日の一般質問の中で、この「条例化」については教育委員会とも協議はせずに見送られたという驚くべき事実が明らかになった。絵に描いたような「コンプライアンス」(法令遵守)違反である。

 

 一方、当市の新図書館選定委員の副委員長に選任された吉成信夫さんは公募により、2015年から岐阜市立図書館の館長をへて「みんなの森 ぎふメディアコスモス」元総合プロデューサーを歴任した。その岐阜市では「地方教育行政法」の改正後、正式な条例化を踏まえたうえで、それまで教育委員会の所管だった図書館を新たに設置された「市民協働推進部」に移管した。吉成さんは「縦割り行政を脱し、単なる複合施設から融合施設へと進化させることができた」と語っている。なぜ、当市ではできなかったのか。上田市長という”ワンマン”がそのトップに鎮座しているからに他ならない。

 

 

 

 

 

★オンライン署名のお願い★

 

 

 「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」とこう呼びかけている。

 

 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。

 

 私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振って署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

 

●オンライン署名の入り口は以下から

 

https://chng.it/khxdhyqLNS

 

 

●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ

・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」 https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba

 

・ヒカリノミチ通信(増子義久)  https://samidare.jp/masuko/

 

・おいものブログ〜カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」   https://oimonosenaka.seesaa.net/ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2025.09.08:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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