上田市長が不出馬表明…そして、クロちゃんとの出会いを機にブログ閉鎖へ〜長い間のお付き合いに感謝申し上げます:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

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上田市長が不出馬表明…そして、クロちゃんとの出会いを機にブログ閉鎖へ〜長い間のお付き合いに感謝申し上げます


 

 真っ黒けなので「クロちゃん」と呼ぶことになる、その子猫がドアのすき間からわが家に忍び込んだのはお盆の入りの今年8月13日のことだった。買い物から帰った私はその光景に動転し、パニック状態になった。クロちゃんは7年前に他界した妻が死の直前まで使っていた、そのベッドの上にちょこんと座っていた。私はとっさに「こらッ」と大声を上げ、外に追い出した。

 

 「お盆のこの日になぜ」―。私は柄にもなく、”輪廻転生“(りんねてんしょう)という言葉を思い出していた。ひょっとしたら、この子猫は妻の生まれ変わりではないのか。私がけんもほろろに追い出したのは亡妻その人ではなかったのか。あの時のトラウマのせいか、クロちゃんはその後ぱったりと姿を見せなくなった。かつて、経験したことがないような罪の意識に苛(さいな)まれた。キャットフードなるものを初めて買い求め、ベランダの上にそっと、置いてみた

 

 約1週間後、瀬戸物の容器の中が空っぽになっていた。クロちゃん、いや亡き妻が戻ってきてくれたんではないか。そう思うと、へなへなと力が抜けてしまった。以来、1日3回の食事提供が欠かせない日課になった。ある時、買い置きがなくなっているのに気がついた。冷蔵庫にあったプリンと鰹節をミックスした豆腐を提供したが、クンクンとにおいを嗅ぐだけで、ポイ。「これはとっておきだぞ」…ウナギのかば焼きの出血サーブスにも「ノーサンキュウ」の面持ちではないか。「この贅沢(ぜいたく)、クロべえよ」

 

 ベランダで伸びをしたり、毛づくろいをしたり、でんぐり返ったりと日ごとにその距離感は縮まっていった。そんなある日、クロちゃんの左右の目の色が違っていることに気がついた、猫通の知人によると、黒猫には珍しい「オッドアイ」(金目銀目)だといい、幸運を呼ぶとも言われているという。「さ〜て、どんな朗報を運んでくれることやら…」―

 

 前置きが長くなったが、猛暑から一転して秋の気配が深まった10月2日、現職の上田東一(71)花巻市長(3期目)が記者会見の場で次期市長選へ不出馬を正式に表明した。健康上の理由だという。ざっと、12年間に及ぶ市政チェックを辛口の筆法でブログに書き連ねてきた。この場を借りて、ご苦労さまでした。退任後はゆっくりとお休みくださいと伝えたい。そして、私はクロちゃんの頭をなでながら、ボソボソと独りごちた。「そうか、お前が伝えたかったのはこのこと(市長勇退)だったのか。だとすれば、こっちの方もそろそろ“潮時”ということかもしれないな」

 

 当ブログは市議に初当選した直後の2010年9月14日付で開設し、早や15年が経過した。「マコトノクサ通信」でスタートし、「イーハトーブ通信」から現在の「ヒカリノミチ通信」に至るまで、タイトルの命名はいずれも宮沢賢治からいただいた。この15年間が満州事変(1931年)から先のアジア・太平洋戦争の敗戦(1945年)までの“15年戦争”にピッタリ重なっていることに我ながら、驚いた。

 

 『「イーハトーブ“図書館”戦争」従軍記―独裁と図書館』(仮題)と題した自著が今秋にも刊行される。上田市政下、5年以上に及んだ新花巻図書館をめぐる攻防をドキュメント風にまとめた記録である。『「1・29」事変の勃発』という書き出しで本書は始まる。我が人生の掉尾(ちょうび)を飾るにふさわしい“戦記物”ではないかと内心、まんざらでもない。イスラエルによるパレスチナ「ガザ」地区へのジェノサイド(大量虐殺)に見るように、独裁者はいつの時代でも「文化」(知性)に敵対する存在だということを後世に伝え残したかったのである。

 

 ブログ開設以来、15年間のアクセス数は2,856,845件(10月2日正午現在)に達した。歯に衣着せぬ内容に眉をひそめた読者も多かったと思う。そんな性分なので何卒、ご容赦をいただきたい。手厳しいコメントをくださった読者の皆さんの支えがあったからこそ、持ちこたえることができたと思う。

 

 相棒のクロちゃんがこのところ、玄関ドアに鼻先を押し付け「二ヤーン」と何か訴えるそぶりを見せるようになった。「中に入れて」というサインのような気もするが、「う〜ん」と腕を組んでしまった。齢(よわい)85歳の老残と子猫のクロちゃんの余命の差は歴然としている。私自身が味わった“やもめ”の寂しさをこの子に味わわせてはならない。

 

 ある時、背筋をきりっと伸ばしたクロちゃんが玄関前の椅子の上に招き猫然として、座っているのを見つけた。刹那(せつな)、その姿が亡妻に変身したように見えた。「早く、こっちにおいでよ」と手招きしているような錯覚を覚えた。クロちゃん、老い先短いこのオジイとのお付き合いをもうちょっとだけ、よろしくね。亡き妻は沖縄・石垣島のサンゴ礁の海に眠っている。

 

 さて、次期市長選は令和8年1月18日告示、同月25投開票の日程で行われる。現職の引退に伴い、3人の新人による争いになる公算が強い。いずれにせよ、立地適正化計画を柱とする上田市政の総括に有権者の関心が集まっており、とくに市民世論を二分した「新図書館」問題は大きな争点になりそうだ。各候補者の訴えから、耳をそらすわけにはいかない。

 

 

 

<注>〜今後、ブログ記事は私的なメモが多くなると思われるので、原則として非公開とします。しかし、緊急事態に匹敵するような案件についてはその都度、公開したいと思います)

 

 

 

 

(写真は我が唯一無二の“盟友”であるクロちゃん。仕草や鳴き声の変化によって、阿吽(あうん)の“会話”も通じるように=花巻市桜町の自宅玄関前で)

 

 

 

 

★オンライン署名のお願い★

 

 

 「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」とこう呼びかけている。

 

 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。

 

 私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振って署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

 

●オンライン署名の入り口は以下から

 

https://chng.it/khxdhyqLNS

 

 

●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ

・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」 https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba

 

・ヒカリノミチ通信(増子義久)  https://samidare.jp/masuko/

 

・おいものブログ〜カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」   https://oimonosenaka.seesaa.net/ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2025.10.02:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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