▼ハモコミ通信2017年6月号
今月も、「まちネタ」(街で見つけたコラムに潜むコミュニケーションのネタ)をお楽しみください。 ◎どこかで誰かが 映画監督の故・黒澤明氏が、とりわけ厳しく演技稽古をつけたのは 「斬られ役」 でした。 主役の刀捌 (さば) きがいくら見事でも、斬られ、のけぞる側の迫真の演技なくして、鑑賞者の心を打つ作品はできあがらないからです。 その斬られ役を、50年以上演じ続けてきたのが福本清三氏です。 “5万回斬られた男”の異名を持つ氏は、2014年、初の主演映画『太秦(うずまさ)ライムライト』で第18回ファンタジア国際映画祭の最優秀主演男優賞を受賞しました。 氏は、これまでの俳優人生を振り返ってこう語ります。 「スクリーンの端で斬られようと、誰に殺されようと、常に自分の持てる全てを出し切って演じていました。もしかしたら、どこかで誰かが見ていてくれるんじゃないかと」 そんな姿を、まさに 「見ていた」 人がいたからこそ、主演に抜擢 (ばってき) され、海外の映画祭で高く評価されたのでしょう。 私たちがその場に応じて担う役回りは、どれも貴いものです。たとえそれが、どのような割り当てであっても、その持ち場に全力で挑みたいものです。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ <コメント> 福本さん、素敵なお顔をされていらっしゃいますね。 年を重ね、やるべきことをやり続けてきたすがすがしさが、そのお顔ににじみ出ています。 黒澤明監督が斬られ役の演技稽古に厳しかったのは、もちろん映画としての出来を左右する重要な要素ととらえていたからでしょう。 それと同時に、脇役を応援する気持ち、大切にしたい気持ちもあったのかな、と勝手に想像しました。 どのような役回りでもおろそかにしない、ということは、口で言うほど簡単ではないと思います。しかしそれができないと本物にはなれない、本物とは言えないな、と感じました。  ◎試練を乗り越える 自分ではいいと思って実行しようとしても、周囲の思わぬ反対にあったり、足を引っ張られたりすることは、よくあるものです。 例えば、「志望大学を決めて担任に相談したところ、無理だと却下された」「結婚したい相手を両親に紹介したところ、猛反対された」といった経験をしたことはないでしょうか。 反対にあった時こそ、その思いが、どの程度のものかわかるものです。自分のやろうとしていることが本物かどうか、試されているともいえます。 あっさり諦めるようでは、本物とはいえません。冷静に相手を説得するだけの強い信念があってこそ、思いの実現に近づくことができるのです。 反対されたり、足を引っ張られたりすることは、自分への陰の応援団だと受け止めてみましょう。 「中途半端な気持ちでやったら失敗するぞ」「本気で取り組まないと、高い壁は乗り越えられないぞ」と問われ、励まされているのです。 その試練を乗り越えた先に、答えが見えてくるでしょう。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ <コメント> 冷静な状態で読むと、確かにそのとおり、と共感できますが、渦中にいるときにも果たしてそういう気持ちになれるかどうかは微妙なところです(笑)。  反対はまだしも、足を引っ張られると冷静ではいられなくなりそうです。 若い頃はこういう視点はまったく持っていませんでしたから、憤慨したりして、相手を責めていました。 若さゆえと言えばそれまでですが、年齢に関係なく、こういう考え方に常々ふれているかどうかが、分かれ目のような気がします。
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2017.06.01:壱岐産業

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