長井まち歩き物語3 羽前成田駅:長井市観光ポータルサイト
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長井まち歩き物語3 羽前成田駅
2013.08.12:Copyright (C) 読みもの長井物語
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ゆっくりと まちなみに ふれてみませんか・・・・・
魅力あふれる 深い建物を醸し出す風景に 足を運んで下さい
(資料:長井市史、神奈川大学工学部建築学科 西和夫 長井市歴史建造物調査報告書、文教の杜)
フラワー長井線は、地域の足として観光の新たなアイテムとして、田園の中をゆっくり走ります。大正3年、現南陽市赤湯駅から現長井市の長井駅まで長井軽便鉄道線として整備され、以降逐次白鷹町荒砥駅までのばされました。
この風景は昔も今も変わっていない
羽前成田駅は、長井駅から北へ2つ目にあり、日本の原風景に溶け込む木造駅舎です。
大正11年に長井・鮎貝間が開通し、その際に羽前成田駅が開設されました。
羽前成田駅舎は、桁(けた)行8間、梁(はり)行3間の規模で、木造平屋建て屋根切妻造り、鉄板瓦棒葺き。南面、西面に下屋があります。外壁は改変によりボード貼りでしたが、平成23・24年度のまちづくり基金事業で、当時の下見板張りに戻りました。妻部は下見板張り。北面、東面に庇(ひさし)を出し、腕木(うでぎ)で支えています。腕木は下端が円形状。東に車寄せを突き出しています。
北面に出た庇(ひさし)を支える腕木(腕木)の下端は円形状だ
駅舎の間取りは、北から待合室、事務室、ナガシ、物置と並んでいます。待合室の壁は白漆喰仕上げで、腰壁は縦羽目。北面に板目透かし張り、釘打ちの腰掛を設けています。南面に切符売場と荷物預け口の2つのカウンター窓口を設け、荷物預け口は切符売場に比べ一段高さが低くつくられています。カウンター板はケヤキ材、建具は非常に凝った意匠で、カウンターを支える持送りの意匠も独特です。天井にストーブの熱気を逃す穴があいています。
切符売場正面 大正時代の情景がそのまま
荷物預け口 切符売場より一段下げている 窓の上には不明荷物主への告知板が
カウンター板はケヤキ材 建具も凝っている
切符売場の上部 英語表記も 電灯具もいい
釘打ちされた腰掛 年代を感じさせる
カウンターを支える持送りの意匠も独特だ
事務室天井は棹縁天井、床はモルタル仕上げ。壁は白漆喰仕上げ、腰壁は板張り。北に切符売場の机、南に横舞良の板戸を2本通した押入れがあります。天井には待合室と同じく四角のストーブ用の穴があいています。西に半間出っ張った形で作り付けの机があり、下部は棚になっています。用途は線路や列車を見るためのもので、長井線の他の駅舎にも見られる様式です。
西面の出っ張り 線路や列車を見るためのもの
この駅舎は大正12年の年紀をもつ図があり、この図と現状を比較するとほぼ間取りに変更はありません。柱、建具やカウンターも当初からのものと考えられます。外壁の漆喰周りを波型の木枠で固めていますが、これはボード張りにしたときに同じく近年のものです。
羽前成田駅が開設されたのが大正11年、図面に記載されている年紀が大正12年。大正12年も図面と現状がほぼ一致することから、少なくともこの頃までは年代は遡ると判断されます。しかし開通時に駅舎がないとは考え難いことから、建築年代としては大正11・12年となります。
駅が開設された当初の姿をよく留めており、地域の歴史を伝える上で大変貴重。また、細部にまで凝った意匠は、当時の大工技術を知る上でも貴重でです。