ある新聞に:ヤマガタンAnnex|山形の農業〜農林水産
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ある新聞に
2013.12.03:Copyright (C) ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ
凄い!・・・納得、納得!
尊農の思想
山さくらさま、種子原人さま
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恥ずかしながら、以下に掲載します。
空腹は誰しもが我慢できない。だからこそ、鎌倉の世も、徳川も、明治も、昭和も、その敗戦時も・・・その時々の政権はまず農業を守り、これを社会の基本としてきた。変わることなく人々の暮らしといのちを守り続けたのはこの国の農業だった。社会の基礎にしっかりと農業が根付いていたからこそ、幾度かの動乱や政変の中にあっても人々は最少の混乱でその危機をくぐり抜けることができたのではなかったか。
しかし、数千年続いたこの国の人々と農業の関係はいま、大きく崩れようとしている。農水省の予測では、日本の食料自給率は現在の39%から27%まで落ち込むという。それは有史以来はじめてのこと。TPPの話しだ。
このように農業だけをとってもこの国の未来に大きな暗雲を投げかける問題を含んでいるにも関わらず、今に至ってもなお、TPPの全体像を国民にまったく公表することなく、一部の閣僚と企業人において秘密裏に決めてしまおうとしている。そこには民主主義はない。憲法にうたわれた主権在民もない。
交渉は年内妥結をめざして、12月7日からは閣僚会議が始まろうとしている。このまま我々の未来を一部の閣僚に任せていいのだろうか。いま、私たちはこの国の農民として、だからこそ気づきうるTPPの危うさを、広く社会に訴える国民運動の先頭に立たなければならない。大きく言えば我が農民にその歴史的責任、社会的使命があるのではないか。
TPPをめぐる議論の中には、「日本の米は高すぎる」というものがある。ご飯1杯(70g)の価格は28円、2杯食べても56円でしかない(10kgあたり4千円の場合)。それを「高すぎる!外国に依存せよ!」というだろうか。
TPPは規模と価格とコストの面で、果てしない競争を強いていく。市場原理とはそういうものだ。近年、環境と生態系に負荷をかけず、何よりも食の安心、安全を第一とする循環農業、有機農業への流れができてきたように見えたが、一転して農法は、農薬、化学肥料に、より傾斜したものにならざるをえないだろう。一層の省力化、コストの削減、土からの収奪と土の使い捨てが続く。これでは未来の世代にはぼろぼろになった土しか渡せない。それでも生き残ることは難しいだろうが、そんな農業、そのような「国づくり」が進行していくのだ。それを自民党は「成長戦略」という。でも、それがどのような意味で「成長」なのだろうか。
農業、食糧生産をそのような「成長」路線から解き放ち、いまある日本型農業を守り、土や海、森を始めとした、いのちの資源と共生する農業を広く築き、その農の上に新しい人間社会のモデル、農業を基礎とした循環型社会を広くアジアに、世界に示していくことこそが日本の進むべき道ではないかと思うのだ。