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ある新聞に
最近、ある新聞からTPPと農業に関わる文章を頼まれた。
1,000字。
恥ずかしながら、以下に掲載します。
空腹は誰しもが我慢できない。だからこそ、鎌倉の世も、徳川も、明治も、昭和も、その敗戦時も・・・その時々の政権はまず農業を守り、これを社会の基本としてきた。変わることなく人々の暮らしといのちを守り続けたのはこの国の農業だった。社会の基礎にしっかりと農業が根付いていたからこそ、幾度かの動乱や政変の中にあっても人々は最少の混乱でその危機をくぐり抜けることができたのではなかったか。
しかし、数千年続いたこの国の人々と農業の関係はいま、大きく崩れようとしている。農水省の予測では、日本の食料自給率は現在の39%から27%まで落ち込むという。それは有史以来はじめてのこと。TPPの話しだ。
このように農業だけをとってもこの国の未来に大きな暗雲を投げかける問題を含んでいるにも関わらず、今に至ってもなお、TPPの全体像を国民にまったく公表することなく、一部の閣僚と企業人において秘密裏に決めてしまおうとしている。そこには民主主義はない。憲法にうたわれた主権在民もない。
交渉は年内妥結をめざして、12月7日からは閣僚会議が始まろうとしている。このまま我々の未来を一部の閣僚に任せていいのだろうか。いま、私たちはこの国の農民として、だからこそ気づきうるTPPの危うさを、広く社会に訴える国民運動の先頭に立たなければならない。大きく言えば我が農民にその歴史的責任、社会的使命があるのではないか。
TPPをめぐる議論の中には、「日本の米は高すぎる」というものがある。ご飯1杯(70g)の価格は28円、2杯食べても56円でしかない(10kgあたり4千円の場合)。それを「高すぎる!外国に依存せよ!」というだろうか。
TPPは規模と価格とコストの面で、果てしない競争を強いていく。市場原理とはそういうものだ。近年、環境と生態系に負荷をかけず、何よりも食の安心、安全を第一とする循環農業、有機農業への流れができてきたように見えたが、一転して農法は、農薬、化学肥料に、より傾斜したものにならざるをえないだろう。一層の省力化、コストの削減、土からの収奪と土の使い捨てが続く。これでは未来の世代にはぼろぼろになった土しか渡せない。それでも生き残ることは難しいだろうが、そんな農業、そのような「国づくり」が進行していくのだ。それを自民党は「成長戦略」という。でも、それがどのような意味で「成長」なのだろうか。
農業、食糧生産をそのような「成長」路線から解き放ち、いまある日本型農業を守り、土や海、森を始めとした、いのちの資源と共生する農業を広く築き、その農の上に新しい人間社会のモデル、農業を基礎とした循環型社会を広くアジアに、世界に示していくことこそが日本の進むべき道ではないかと思うのだ。
2013.12.03:Copyright (C)
ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ
凄い!・・・納得、納得!
誰が読んでも、その通りや! って言うと思います。
不思議なのは、そう思わない人たちが居ることやわなぁ〜!?
農業もそうだけど、生活も数千年続いた物が、ここ60〜70年で、様変わりしていますよね・・・・?
文明って、利用の仕方次第で怖いものなんやなぁ〜って感じます。
便利とか、楽しようとか・・・・ね。
TPPは撤回してほしいけど・・・。
何を守りたいんかな?
収入利益、そして、みんなの生活を楽にしたいんかな・・・?
お金儲けの前に、食べ物の安全と自給率やわな・・・!
人々が健康で倖せでないと、お金がいっぱいあっても悲しいことや辛い事が山積みになるでなぁ〜!
除草剤だって、遺伝子組み換えだって、地球や、農作物が苦しんでます。・・・・・人間も動物も苦しみ始めています。
・・・・・怖いよ〜!・・・・なっ・・・・!
2013.12.04:山さくら [
修正
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削除
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尊農の思想
先輩、こんにちは。
TPPと我が国農業の関係は、尊農思想に基づいて考えるべきものではないでしょうか。単なる農本主義に基づくものではない、と考えます。
今こそ、尊農運動のさらなる展開を!尊農の志士より
2013.12.04:種子原人 [
修正
|
削除
]
山さくらさま、種子原人さま
お二人のそろい踏み、久しぶりですね。
山さくらさま;「人々が健康で倖せでないと、お金がいっぱいあっても悲しいことや辛い事が山積みになるでなぁ」ですか!
いい言葉。
座布団三枚!
全くその通りですね。
種さん;「尊農の志士」はいいよな。鹿児島人がそれをいうと説得力があるなぁ。その辺を肴に一杯やりたいね。
2013.12.04:菅野芳秀 [
修正
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1,000字。
恥ずかしながら、以下に掲載します。
空腹は誰しもが我慢できない。だからこそ、鎌倉の世も、徳川も、明治も、昭和も、その敗戦時も・・・その時々の政権はまず農業を守り、これを社会の基本としてきた。変わることなく人々の暮らしといのちを守り続けたのはこの国の農業だった。社会の基礎にしっかりと農業が根付いていたからこそ、幾度かの動乱や政変の中にあっても人々は最少の混乱でその危機をくぐり抜けることができたのではなかったか。
しかし、数千年続いたこの国の人々と農業の関係はいま、大きく崩れようとしている。農水省の予測では、日本の食料自給率は現在の39%から27%まで落ち込むという。それは有史以来はじめてのこと。TPPの話しだ。
このように農業だけをとってもこの国の未来に大きな暗雲を投げかける問題を含んでいるにも関わらず、今に至ってもなお、TPPの全体像を国民にまったく公表することなく、一部の閣僚と企業人において秘密裏に決めてしまおうとしている。そこには民主主義はない。憲法にうたわれた主権在民もない。
交渉は年内妥結をめざして、12月7日からは閣僚会議が始まろうとしている。このまま我々の未来を一部の閣僚に任せていいのだろうか。いま、私たちはこの国の農民として、だからこそ気づきうるTPPの危うさを、広く社会に訴える国民運動の先頭に立たなければならない。大きく言えば我が農民にその歴史的責任、社会的使命があるのではないか。
TPPをめぐる議論の中には、「日本の米は高すぎる」というものがある。ご飯1杯(70g)の価格は28円、2杯食べても56円でしかない(10kgあたり4千円の場合)。それを「高すぎる!外国に依存せよ!」というだろうか。
TPPは規模と価格とコストの面で、果てしない競争を強いていく。市場原理とはそういうものだ。近年、環境と生態系に負荷をかけず、何よりも食の安心、安全を第一とする循環農業、有機農業への流れができてきたように見えたが、一転して農法は、農薬、化学肥料に、より傾斜したものにならざるをえないだろう。一層の省力化、コストの削減、土からの収奪と土の使い捨てが続く。これでは未来の世代にはぼろぼろになった土しか渡せない。それでも生き残ることは難しいだろうが、そんな農業、そのような「国づくり」が進行していくのだ。それを自民党は「成長戦略」という。でも、それがどのような意味で「成長」なのだろうか。
農業、食糧生産をそのような「成長」路線から解き放ち、いまある日本型農業を守り、土や海、森を始めとした、いのちの資源と共生する農業を広く築き、その農の上に新しい人間社会のモデル、農業を基礎とした循環型社会を広くアジアに、世界に示していくことこそが日本の進むべき道ではないかと思うのだ。