人をケモノにしてはいけない。:ヤマガタンAnnex|山形の農業〜農林水産
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人をケモノにしてはいけない。
2015.03.25:Copyright (C) ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ
もう、田植えの準備ですか・・・・・!
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もうじき4月。まだ1m近い雪が残ってはいるが田植えに向けて苗箱への土入れ作業の準備が進んでいる。ニワトリ達も元気だ。
我が家は朝日連峰の麓(ふもと)にあり、水田4.2hと自然養鶏1,000羽とを組み合わせた小さな循環農業を営んでいる。働き手は33歳の息子と私。専業農家だ。 自然養鶏と言っても聞きなれない方もいようが、要は健康でうまい玉子を得るためにニワトリ達を野原に放し飼いする養鶏だ。
山すそ野で自然に近づけてニワトリ達を飼えば、当然自然の方だって近づいてくる。そこに生息する腹ペコのタヌキやキツネにとって、ニワトリ達は歩くおにぎりやパンと同じだ。かくて、長きに渡って奴らと我が家とのニワトリ達のいのちをめぐる攻防が繰り広げられてきた。
今まで数多くのタヌキやキツネを捕まえはしたが、多くは半死の状態にして森に帰してきた。
「あそこには行かない方がいいぞ。殺されるところだった。」とのPR効果をねらってのことだ。しかし、彼らを何度懲らしめても同じ奴が繰り返しやってくる。負傷した足を引きずりながらやってくる。そこで私は彼らの家庭を思った。
「なんて?もう行くのは嫌だって?何言ってんのよ。子どもたちを飢え死にさせる気?とっとと行っておいで!」
奴らは女房からこっぴどく叱られ、子を餓死させるよりは・・と、恐怖に震えながらやってくるのではないか。きっとそうに違いない。食べ物がないということは命がけのことだ。
人だって生命線の食べ物が無くなれば容易にタヌキにもキがツネにもなってしまうだろう。近年、農業の衰退が著しい。更にここにきてTPPだ。これが通れば自給率が14%まで下がると農水省は言う。農業の問題は農民の収入の問題をはるかに超えて、この国の存続にかかわる問題、この国に住む全ての人たちのいのちの問題だ。人をタヌキやキツネにしてはいけない。ケモノにしてはいけない。