衣服を整理した。:ヤマガタンAnnex|山形の農業〜農林水産
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そのほとんどが古くなったもの、色落ちしたもの、シミができたものなどで、捨てずにしまい込んでいたものだ。それというのも農作業用に回せばまだまだ使えるからで、洗っても落ちない油じみなどもあるが、それだけなら作業着として全く問題はない。破れて役にたたなくなるまでまだまだ使い続けることができる。こんな風に見ていくと捨てるものなどはほとんどなくなってしまう。
靴下もそうだ。片一方に穴が開いても捨てることはない。穴の開いてないものを持ってきて新しく組み合わせればいいだけのこと。
「あれ、菅野さん、新しいファッションですか?」
左右違う模様の長くつを履いて町に出た時などはこんな声をかけられたりもする。そうかファッションになるか!確かに人目を引くだろうな。
世は断捨離だという。でも、いったん買ったのであれば、後は使い切ればいい。そして補充しないことだ。そうすれば自然にモノが減って行く。まだ使えるのにあえて捨てるのは私にはなじめない。少なくとも農村では昔からこのように暮らして来た。こんな考え方の底流にあるのは「足るを知る」暮らし。
近年、大企業の社長の年収がどうだの、資産家の娘がこうだのという話も耳にするが、金銭的豊かさは人を育てない。過剰な資産は子々孫々に渡っておバカさんを作るだけだ。不幸の種をつくるだけだ。
「子孫のためには美田を買わず」といった西郷さんではないけれど、もしそんな資産があったなら苦しんでいる人たちにあげればいい。その結果、やがて資産家の子息が我々農家のように、いつか使う日のことを考えて、段ボールに古い作業服を貯めだしたとしたら、それはまともな道に立ち返れたということではないか。めでたし、めでたしということだろうな。