上杉文華館「幕府の要請」:置賜の宝発掘プロジェクト(仮称)
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「上杉文華館」の12月の展示をご紹介します。
当館常設展室内では国宝上杉家文書を常時見ることができる上杉文華館があります。
今年度のテーマは「 国宝『上杉家文書』に見る幕末の米沢藩」です。
上杉家文書のうち幕末期のものは未だ活字化されていないものも多く、初公開の資料もご紹介します。
平成27年度、全12シリーズの第9弾は…
「幕府の要請」です。
【展示期間】:平成27年11月26日(木)〜12月20日(日)
元治元年(1864)3月、米沢藩主上杉斉憲は幕府からの指示で江戸へ登ると、同年7月、幕府の要職である政治総裁職の内命を受けました。前年の文久上洛時の幕府・朝廷関係周旋が評価され、幕府政治に参画するよう求められたのです。米沢藩では第一次長州征伐等で混乱する幕政に関わることを危惧し、事前の評議に従って内命を辞退しました。
慶応3年10月、徳川慶喜は大政奉還を願い出、将軍職を辞職します。12月、薩摩・長州藩などの主導により朝廷が王政復古を宣言すると、慶喜は薩長の行為を批判し、諸大名に大阪への参集を求めました。米沢藩もこれに応じ米沢から出兵しますが、翌年1月の鳥羽伏見の戦いで旧幕府軍が大敗した事を知り、兵を引きました。
殿様、幕府の政治に関わってはなりませぬ
国宝「上杉家文書」
諸大夫奉呈書
時代:元治元年(1864年)
法量:17.9×168.0
所蔵:米沢市上杉博物館
〔解説〕
米沢藩の重臣が第一二代藩主上杉斉憲に提出した、幕政参加辞退を強く求める意見書です。斉憲の出府直前とあり、元治元年二月頃の文書と推定されます。文久の上洛から米沢に戻り、わずか三か月後です。
この文書で重臣たちは、幕府から政治についての相談や幕政参加の命令があったとしても、応じないよう繰り返し述べています。
七月には、斉憲は実際に幕府の政事総裁職の内命を受けました。外様藩は幕府の政治に参加できないのが原則ですから、これは異例の事態です。朝廷の信頼も厚く、仲介能力を期待されてのことでした。しかし、米沢藩は国許の重臣の意向を再確認した上で、この文書で申し合わせた通り幕政参加を辞退しました。
◆コレクショントーク◆
平成27年11月28日(土)14:00〜
担当:当館学芸員 佐藤 正三郎
場所:常設展示室 上杉文華館
※入館料が必要です。
次回、平成27年度予定
上杉文華館 《 国宝上杉家文書にみる幕末の米沢藩 》
「戊辰戦争と奥羽越列藩同盟」
【展示期間】:平成27年12月22日(火) 〜平成28年1月24日(日)
◆コレクショントーク◆ 平成27年12月23日(水)
お問い合わせ 米沢市上杉博物館 0238−26−8001まで
皆さまのご来館を心よりお待ちしております。