我が家にはとの巣が(2):生涯学習ノート
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我が家にはとの巣が(2)
2010.07.03:Copyright (C) 年だからでなく年がいもなく
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女房は母鳥と父鳥が交代で温めているというが、どれが母鳥でどれが父鳥なのかわからない
いつ覗いてみても巣にいて身じろぎもしない親鳥の姿は愛しくもあり神々しくも見える
「雨の中でもじっとたまごを温め続けて偉いもんだわ」と女房は言う
そうだね、今時の人間よりも・・・と思っていたら「人間も見習わなくてはね」と女房が続けて言う
ある朝突然「おとうさん!見て!見て!」と女房が呼びに来る
洗面所の窓から鳩の巣を覗くと親鳥の羽の間から時々小さな頭を覗かせる
2羽だ
孵化したのだ
巣を覗く回数が増えた
どちらかが新しい動きを見つけると声を掛け合う
狭い窓から老いたる顔をくっつけあいながら暫し巣の中の動きを見続ける
2羽のヒナは親鳥が巣を離れると動かずにじっとしている
あまり動かないので雨で体温が奪われて死んでしまったのではないかと心配になる
女房に言わせると天敵から身を守るための本能的行動だ、としたり顔で解説する
女房は動物物テレビのフアンなので動物の生態についてはテレビで学習していて詳しい
ひょっとしたら当たっているのかもしれない
数日たってまた女房が「おとうさん!見て!見て!」と呼び出しに来る
覗いてみると親鳥が口移しでヒナにえさを与えている姿が目に飛び込んできた
2羽のヒナは羽をばたつかせながら必死に口を開けて口移しのえさを求める
命を育む親子の動きが狭い巣の中で激しく繰り広げられる
「わー大きくなっているな〜」と口にすると「ここまで育ったんなら大丈夫だよね」と女房が言う
ヒナが大きくなるにつれて親鳥のえさ探しの回数が増えてくる
母鳥と父鳥が一緒にえさ探しに飛び立っているのだろうか
巣を空ける時間が長くなる
ふと自分の現役時代のことを思い浮かべた
えさ探しと称して巣の中のことを忘れていたのではなかったか
もっと女房と一緒に巣作りと子育てをするべきではなかったろうか
もし生まれ変われたら育児休暇をとってもっと育児にかかわろう
そんなことを思ってしまった
はとの巣はいろいろなことに気づかせてくれた
命の尊さ、生きるということ、子育て、夫婦の役割などについて考えさせてくれた
もたらしてくれたものもある
一番大きなものは老夫婦に会話の機会を増やしてくれたことである
梅雨時のカビが生えかかった老夫婦の会話に息吹を吹き込んでくれたのだ
もう数日すればヒナは飛び立つだろう
老夫婦も心だけではあるが、どこかへ飛び立てそうな気がしてならない