緒形　拳：生涯学習ノート

大好きな、大好きな,緒形　拳が亡くなった

緒形　拳の魅力は眼力にあると思っている
優しさと厳しさの両方を兼ね備えた眼である
その眼が表す厳しさと優しさの表情の落差が魅力
ニコッと笑ったときの笑顔が何かを伝えてくる

「復讐するは我にあり」で演じられたように、個性的、悪人的な役の中に持ち味を
発揮できる役者
善良な市民、平凡なサラリーマン的や役は似合わない
飄々とした味を出して、子供や女性からもすかれるような魅力をも持ち合わせてい
る


先日黒澤監督の「生きる」という映画を観て、志村　喬という名優に画面で久しぶ
りに会った
緒形　拳は志村喬以後の日本を代表する名優と思う
役者である前に人間としての魅了を潜めていることがその思いを強くする

亡くなり方が突然でびっくりした
突然というのは、つい先ほどまで活躍していたではないかという思いがあるから
実際そうであったが・・・

肝臓がんを隠して、死ぬ間際まで役者稼業を続けていた
緒形拳らしい美学を貫いたという評価をとりつけている

私もがんである
私はブログで、がん患者は二つに分かれると記載した
すなわち黙ってがんに耐えるという患者、がんだーとオープンにしてしまう患者
私は後者の患者であると宣言し、人の迷惑顧みずにブログにがん、がん、載せまく
っている

どっちでもいいのではないか
まずいと思うのは、どっちつかずで、じくじくしながら自分も落ち込み、家族も巻
き込んでしまう患者ではないか

書家でもあった緒形拳は「不借身命」という字を自ら屏風に残している
元貴乃花にも横綱昇進の時にこの言葉を送ったそうだ

緒形　拳は「不借身命」を地でいった形
誰にも口外させずにひたむきに仕事に埋没していった理由は私にはわからない
命を削ってでも今の役者と言う仕事に魅力を見出していたのか
治療の限界を悟っていたからか
いずれにしてもうらやましいような思い

私もがんである
たちの悪い、つまり生存率が最低である膵臓がん患者

私に「不借身命」と言う言葉はあてはまらないのか
確かに膵臓がんを宣告され、手術をしたあとも派遣講師などの仕事を続けている
でも私の「不借身命」の対象は派遣講師ではない
それでは心が満たされない

命をかけるほどのものを持ち合わせていない平凡な人間には「不借身命」という言
葉は重さだけが残る

平凡でもいいからきっちりと自分らしく生き抜くことか
これから命をかけて取り組めることを見つけ出すか