[がん哲学外来の話]―1:生涯学習ノート
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[がん哲学外来の話]―1
2月2日付けのブログに「術後19ヶ月目の外来診察日」と題して下記のように書いている
「ガン患者は身体的な悩みと共に精神的な悩みも抱えているはず
とくに末期ガンの患者や余命宣告をされた患者の精神的な悩みは大きく深いはず
それらの悩みはどこへもって行ったらいいのだろうか
患者はどう処理しているのだろうか
医者はデーターをみてエビデンスで物言うだけで終わりなのか
それでいいのだろうか
患者の心を置き去りにして成り立っている不思議な医療の世界である」
この問いかけに答えてくれるような本が発刊された
「がん哲学外来の話」という本である
著者は順天堂大学医学部教授 樋脇 興夫(病理・腫瘍学)
前書きにこう記している
【2008年1月に付属順天堂医院に「医師と患者が対等の立場でがんについて語り合う場」として『がん哲学外来』という無料特別外来を開設した
わけのわからない外来に来る患者はいないだろうとゆっくりと構えていたら3ヶ月間にもわたった1日4〜8組の予約は直ぐにうまり、キャンセル待ちは約50組にのぼった
日本のがん医療の現場にかけている何か、求められている何かを肌で感じ、確信した3ヶ月間だった
3ヶ月間の『がん哲学外来』が終わったあとも全国の「がん患者の会」などからの講演依頼が続いており、医師や看護師の間で『がん哲学外来』のNPO法人化の動きもある】
このような動きは、ブログ「術後19ヶ月目の外来診察日」に記した問いかけに答えようとする医師側からの働きかけではないか
『がん哲学外来』について著者はこのように述べている
△がん研究者自身が「がん」をどのように理解しているのかを丁寧に、真剣に
語ることが、学究者にとって真の社会貢献である
△がん哲学とは、20歳から独学で学び続けてきた南原繁の『政治哲学』と、元
癌研究所所長・吉田富三の『がん学』をドッキングさせたもの
科学としてのがんを学びながら、がんに哲学的な考えを取り入れていく領域
がある、という立場に立ち「がん哲学」を提唱した
△がん細胞の性質を見極めることで、がん細胞の進展を抑えようとするのが私
の研究であり、そこから人間や人間社会のあるべき姿を学ぼうとするのが『がん哲学外来』
△『がん哲学外来』を考える直接のきっかけは、2005年にアスベスト被害が表
面化した時であるが、がん研究に関わってきた病理学者として、「今すぐに
できること」はないだろうか − 私にとって、それこそが『がん哲学来』
だったのである
△診療ではなく、セカンド・オピニオンでもなく、がん相談や心理カウンセリ
ングとも違う。『がん哲学外来』は日本のがん医療に足りないもの、気づい
ていない「何か」を埋める「すき間サイエンス」であり、がん医療改革のた
めの「場の設定」ののです
△なぜ「哲学」なのか
患者さんが抱える悩みは病人としての悩みではない、人間としての悩みで
す。がんという大病を抱えたとき、それを背負って人間としてどう生きるか
という深い悩みです。それは「心のケア」というレベルではなく、自分とい
う存在そのものを問う領域なのだと思います
ですから『がん哲学外来』は、来られて方を「病人」の側面だけでなく、ひ
とりの人間としての悩みに焦点を合わせます。同じ人間として、対等の目線
に立って、人間を学ぶ「人間学」の場でありありたいと考えるのです
▲ここまで読むとずいぶんと堅くて難しい本のような印象を持ってしまいそう
であるが、実際の本は読みやすく、患者にとって役立つような、元気をもら
えるような内容である
▲第3章の『がん患者の「いのち&こころ」を支える言葉集』や特別付録の『がん患者をみまうときの新常識』などは実際的で参考になる
▲がんに関してのハウツー的な対処の仕方でなく、生き方そのものを含むよう
な哲学的な対処の仕方を述べている本である
病気という逆境に立たされた場合、人はどう生きていけばいいかということ
に関して、ヒントをもらえる本である
2009.03.14:Copyright (C)
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とくに末期ガンの患者や余命宣告をされた患者の精神的な悩みは大きく深いはず
それらの悩みはどこへもって行ったらいいのだろうか
患者はどう処理しているのだろうか
医者はデーターをみてエビデンスで物言うだけで終わりなのか
それでいいのだろうか
患者の心を置き去りにして成り立っている不思議な医療の世界である」
この問いかけに答えてくれるような本が発刊された
「がん哲学外来の話」という本である
著者は順天堂大学医学部教授 樋脇 興夫(病理・腫瘍学)
前書きにこう記している
【2008年1月に付属順天堂医院に「医師と患者が対等の立場でがんについて語り合う場」として『がん哲学外来』という無料特別外来を開設した
わけのわからない外来に来る患者はいないだろうとゆっくりと構えていたら3ヶ月間にもわたった1日4〜8組の予約は直ぐにうまり、キャンセル待ちは約50組にのぼった
日本のがん医療の現場にかけている何か、求められている何かを肌で感じ、確信した3ヶ月間だった
3ヶ月間の『がん哲学外来』が終わったあとも全国の「がん患者の会」などからの講演依頼が続いており、医師や看護師の間で『がん哲学外来』のNPO法人化の動きもある】
このような動きは、ブログ「術後19ヶ月目の外来診察日」に記した問いかけに答えようとする医師側からの働きかけではないか
『がん哲学外来』について著者はこのように述べている
△がん研究者自身が「がん」をどのように理解しているのかを丁寧に、真剣に
語ることが、学究者にとって真の社会貢献である
△がん哲学とは、20歳から独学で学び続けてきた南原繁の『政治哲学』と、元
癌研究所所長・吉田富三の『がん学』をドッキングさせたもの
科学としてのがんを学びながら、がんに哲学的な考えを取り入れていく領域
がある、という立場に立ち「がん哲学」を提唱した
△がん細胞の性質を見極めることで、がん細胞の進展を抑えようとするのが私
の研究であり、そこから人間や人間社会のあるべき姿を学ぼうとするのが『がん哲学外来』
△『がん哲学外来』を考える直接のきっかけは、2005年にアスベスト被害が表
面化した時であるが、がん研究に関わってきた病理学者として、「今すぐに
できること」はないだろうか − 私にとって、それこそが『がん哲学来』
だったのである
△診療ではなく、セカンド・オピニオンでもなく、がん相談や心理カウンセリ
ングとも違う。『がん哲学外来』は日本のがん医療に足りないもの、気づい
ていない「何か」を埋める「すき間サイエンス」であり、がん医療改革のた
めの「場の設定」ののです
△なぜ「哲学」なのか
患者さんが抱える悩みは病人としての悩みではない、人間としての悩みで
す。がんという大病を抱えたとき、それを背負って人間としてどう生きるか
という深い悩みです。それは「心のケア」というレベルではなく、自分とい
う存在そのものを問う領域なのだと思います
ですから『がん哲学外来』は、来られて方を「病人」の側面だけでなく、ひ
とりの人間としての悩みに焦点を合わせます。同じ人間として、対等の目線
に立って、人間を学ぶ「人間学」の場でありありたいと考えるのです
▲ここまで読むとずいぶんと堅くて難しい本のような印象を持ってしまいそう
であるが、実際の本は読みやすく、患者にとって役立つような、元気をもら
えるような内容である
▲第3章の『がん患者の「いのち&こころ」を支える言葉集』や特別付録の『がん患者をみまうときの新常識』などは実際的で参考になる
▲がんに関してのハウツー的な対処の仕方でなく、生き方そのものを含むよう
な哲学的な対処の仕方を述べている本である
病気という逆境に立たされた場合、人はどう生きていけばいいかということ
に関して、ヒントをもらえる本である