映画「チョコラ」:生涯学習ノート

生涯学習ノート
映画「チョコラ」


20日にエルパーク仙台で開催されたNPO法人「アマニ・ヤ・アフリカ」主催の映画と講演の会に参加
ケニアでストリートチルドレンの面倒をみている松下 照美さんの講演つきの映画鑑賞会である(全国的には映画館での上映であるが、仙台のように自主上映というところも多い)

チョコラというのはアフリカのスワヒリ語で「拾う」という意味
ここから生活のためにくずを拾って暮らすストリートチルドレンをさし、侮蔑的意味合いを含んだ呼び名となっている

アフリカのケニアの首都ナイロビから車で40分くらい離れたところにあるティカという人口10万の都市で暮らすストリートチルドレンの生活を描いたドキュメント映画である

監督は「阿賀に生きる」のキャメラマンであった小林 茂

映画はティカのストリートチルドレン8人(1人は26歳になるエイズの子持ちの女性であるが)の日常の生き方がティカとその周辺の環境やさまざまな人間関係の中で淡々と映し出されていく

声高に人生の不条理や社会の矛盾を訴えるような映像ではなく、ティカという都市のなかで暮らすストリートチルドレンの日常生活と家族との関係を追っていく

被写体に密着してアップの映像を多用し、子供や家族の表情を克明に映し出す
観る人はその表情からいろいろなものを感じ、読み取ることができる

120時間かけて撮影したフイルムを1時間34分に編集したそうであるが、削って、削って残された映像は、観る人に多くのものを語りかけてくる
観る人によって映画から受け取るものがいろいろと違ってきそうなドキュメント映画である

この映画にティカで「モヨ・チルドレンセンター」というストリートチルドレンを収容する施設を運営している松下 照美さんという女性が出演している
今回の仙台での上映にあたり來仙されて挨拶をされた

挨拶の中で、「映画を観て、もっと子供に寄り添うべきであることに気がついた。子供を愛する、子供のためといいながら、保護者的な視線や態度で接してきていたのではないか。
この映画の観ていて、映像の中にいままで自分には見せなかった子供の表情を見たときにそう思った」と語っていたのが印象的であった

松下 照美さんとは6年前にケニアに行ったときにティカでお会いしている
実際にストリートチルドレンの世話をする現場も見せてもらったり、支援している福祉施設へも一緒に訪問したりした
このことについてはブログの『ケニア旅行「トピックス」・2』(2009・6・22)に投稿している

照美さんは現在63歳
照美さん50歳のときに絵描きのご主人を亡くし「心にポッカリ穴が開いた」ような状況に陥ったそうである
そのときに誘われてアフリカへ渡り路上の子供たちと出会い、「この子たちと生きたい」という思いを強くしてアフリカへ渡ることを決意したという

それまでやっていた陶芸の道を捨て全財産を整理しての決意であった
そのときの思いを「彼らが空洞に収まった」と表現し、「互いに必要とし必要とされたのでしょう」と語っている

アフリカでお会いしたとき、われわれに接する態度や現地の人々との接する姿を見て、ずっと昔からお友達であるような不思議な親近感を感じてしまった
人をひきつける大きな力を持たれた方である
年に1回仙台でお会いできることを幸いと思う

仙台を最後にしてまたケニアに帰るそうであるが、ティカにある施設を増築する計画が首尾よく達成されることを祈っている

2009.07.21:Copyright (C) 年だからでなく年がいもなく
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