「病みながら老いる時代を生きる」(吉武輝子):生涯学習ノート
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著者は25年近く難病である膠原病を患っていたうえに2000年に大腸がんを宣告され手術した病多き人
その闘病記である
彼女の経歴は1939年生まれ、東映宣伝部を経て日本初の女性宣伝プロデユーサー
土井たかこ、樋口恵子、俵、山田邦子、岩崎加根子 竹下景子、高田敏江などとの
交遊がある
ガンの手術をしたあとの闘病生活と、講演活動などとの調和について彼女なりの体験と意見を述べている
第3章の目次がいい。「病気はするけれど病人にはならない」
△ 第1条 「おしゃれをとことん愉しむべし」、彼女は70代にはいっても公の場で
もジーンズをはきこなすオシャレ好き
「先生、人間には賞味期限がないんですか?」と言う学生の問に次のように胸
を張って答えている
「もちろんよ。男も女も気がつかないうちに、社会が要請する優等生たらんと頑張
って生きている。60代は、いうなれば役割から開放された人間の時代。70、80はまさに人間の旬の時代よ」
最後の4章「死を考えながら生きる」に次のように述べている(長くなるがそのまま紹介させて頂く)
△ ウィズエイジングのために
「わたくしはアンチエイジングという言葉が大嫌いである。生きている限り人
は歳を重ねて高齢期に入っていく。その当たり前の生きる道筋の高齢期を作り
上げていこうと願う、その願いそのものを踏みにじっているように思えてならないからである。
ウィズエイジングなら歳を重ねて生きることの豊かさおいしさが詰まっていて
好きと言いながら、ウィズエイジングの根底をなす気力と体力の乖離の問題に
目をつぶっていたことにいやっというほど気づかされたのである。
昨日できたことが今日できなくなる。今日できたことが明日はできなくなるか
もしれない。しかしできなくなったことを、歳を重ねながら溜め込んだ人間と
しての英知で補いながら生きていく。ここがウィズエイジングの極意だと思いを新たにした」
「わたしのことを意志の強い、根っからの極楽トンボと考えている人たちがい
るが、一人のときは、苦しくて痛くて一日も早く人生が降りられればとゴウゴ
ウと泣くこともある。しかし、人間の命には限りがある。命の有限性が実は私
の、病と共存しながら生きるエネルギー源になっているのである」
△ 土壇場運の底力
土壇場運の強弱は、人持ちか、人貧乏かに大きく左右されているように思えてならない
進駐軍の集団性暴力から戦後をスタートさせたわたくしが今日まで、自己肯定
を良きものとして、背筋を伸ばしていき続けていられるのは「何があったかではない。
そこから先どう生きたかによってその人の人間としての価値と品格が決まる」
と言った、人生半ばを過ぎた交番のおまわりさんの存在あってのことである
▲ 何気なく手にした本で、吉武さんという方に出合えた
同じがんという病を背負っている身として、その生き方に共感を覚え、元気を貰った
元気な熟女と思って読んだが・・・
「土壇運の底力」に述べられている体験が生きる力の源泉になっていたとは